長田こどもクリニックの副院長の長田洋資です。
お子さんが1歳の誕生日を迎え、行動範囲がぐっと広がるこの時期。成長の喜びとともに、様々な感染症への心配も増える頃ではないでしょうか。
特に、1歳からの予防接種について、「どのワクチンを打つの?」「副反応はどのくらいの割合で起こるの?」「本当に効果があるの?」といった具体的なご質問を保護者の皆様からよくいただきます。
そこで今回は、1歳から始まる予防接種について、具体的なデータ(%)を交えながら、その効果と副反応を徹底解説します。2024年4月から定期接種に加わった五種混合ワクチンの情報も盛り込んでいますので、ぜひ最後までご覧いただき、お子さんを感染症から守るための知識を深めていただければ幸いです。
【1歳からのワクチン】接種スケジュール完全ガイド 2025年
1歳を過ぎると、新たな感染症から身を守るための予防接種が始まります。特に1歳の誕生日を迎えたら、以下のワクチンの接種を推奨しています。
・五種混合ワクチン ・肺炎球菌ワクチン ・水痘ワクチン ・麻しん風しん混合ワクチン ・おたふくワクチン (・日本脳炎)
【データで徹底比較】効果は何%?副反応のリスクは?
それぞれのワクチンが、どのくらいの効果があり、どの程度の割合で副反応が起こるのか。具体的な数値とともに見ていきましょう。
1. 麻しん風しん混合(MR)ワクチン
【予防効果】
- 効果は絶大!2回接種で99%以上の人が免疫を獲得できます。
- 麻疹(はしか):感染力が非常に強く、肺炎(約6%)・脳炎(1,000人に1人)といった重い合併症を引き起こし、先進国でも命を落とすことがある危険な病気です。
- 風疹:本人の重症化を防ぐことはもちろん、感染が蔓延して妊娠初期の女性が感染すると、お腹の赤ちゃんが「先天性風疹症候群」になる可能性があります(妊娠1ヶ月で感染すると50%以上)。
【主な副反応の割合】
- 発熱(38.5℃以上):約13%
- 発疹:約3%
- 稀な副反応として、熱性けいれん(約0.3%)、脳炎・脳症(100万〜150万人に1人以下)などの報告があります。
2. 水痘(みずぼうそう)ワクチン
【予防効果】
- 2回の接種で発症をほぼ100%予防! もし感染しても、ごく軽い症状で済みます。
- 将来、痛みを伴う「帯状疱疹」として発症するリスクも低減します。
【主な副反応の割合】
- 接種部位の赤み・腫れ:約3.1%
- 発熱:約2.8%
- 発疹:約1.8%
3. おたふくかぜワクチン (※任意接種)
【予防効果】
- 1回の接種で約90%の有効率。後悔しないために接種を強く推奨!
- 自然にかかった場合、回復が困難な感音性難聴(1,000人に1〜2人)や、無菌性髄膜炎(1〜10%)といった重い合併症のリスクがあります。
- ワクチン接種により、これらの合併症のリスクを大幅に下げることができます。
【主な副反応の割合】
- 接種後2〜3週間後の軽い耳下腺の腫れ、発熱。
- 無菌性髄膜炎の発生頻度は、約0.05%と自然感染よりはるかに低くなっています。
4. 五種混合ワクチン(追加接種)
【予防効果】
- 0歳で獲得した免疫を強化し、長期的な予防効果を維持するための重要な追加接種です。
- 特に百日せきは、乳児期だけでなく学童期にも流行するため、追加接種でしっかり防ぐことが大切です。
【主な副反応の割合】
- 接種部位の赤み、接種部位のしこり、発熱(37.5℃以上)
- 多くは接種部位の反応で、通常数日で軽快します。
5. 小児用肺炎球菌ワクチン(追加接種)
【予防効果】
- 細菌性髄膜炎などの重い感染症から命を守るための「ダメ押し」の一手!
- ワクチン導入後、これらの重篤な病気は激減しました。追加接種で免疫を確実にします。
- 肺炎などの重症化も予防できます。
【主な副反応の割合】
- 接種部位の赤み・腫れ:約70%
- 発熱(38℃以上):約40〜50%
- 接種部位の反応はよく見られますが、ほとんどは一時的なものです。
6. 日本脳炎ワクチン
【予防効果】
- 発症すると死亡率約20〜40%。重い後遺症を防ぐ重要なワクチンです。
- 2回の接種で80%以上の人が免疫を獲得できると言われています。
- 日本脳炎流行地域に渡航・滞在する小児、最近日本脳炎患者が発生した地域・ブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域に居住する小児に対しては、生後6か月から日本脳炎ワクチンの接種を開始することが推奨されます。(日本小児科学会の推奨)
【主な副反応の割合】
- 接種部位の赤み:約25.7%
- 発熱:約1.7%
- ごく稀に重い副反応:急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の報告がありますが、頻度は100万接種あたり0.07〜0.2件と極めて低いです。
【不安を解消!】ママ・パパのよくある質問
Q. 同時接種って、体に負担じゃない?副反応が強く出たりしない?
A. 心配になりますよね。しかし、同時接種でワクチンの効果が弱まったり、副反応が強く出たりすることはないと、世界中の研究で確認されています。日本小児科学会も同時接種を推奨しています。むしろ、何度もクリニックに足を運ぶ負担を減らし、必要な免疫を早くつけてあげられるという大きなメリットがあります。
Q. スケジュールが遅れてしまった…どうすればいい?
A. 大丈夫ですよ。気づいた時点ですぐにかかりつけ医に相談してください。接種が遅れても、最初からやり直す必要はありません。お子さんの状況に合わせて、最適な接種スケジュールを一緒に計画しましょう。大切なのは、中断せずに最後まで接種を完了することです。
最後に:予防接種はお子さんの未来を守る、最高の治療
具体的な数字を見ると、副反応の多さに驚かれるかもしれません。しかし、その多くは一時的なものであり、自然に軽快します。それに対して、ワクチンで防げる病気(VPD)にかかった場合の後遺症や命のリスクは、副反応のリスクよりもはるかに大きいのです。
予防接種は、大切なお子さんを重い感染症から守るための、最も効果的で安全な方法であり、お子さんの未来への最高のプレゼントだと私たちは信じています。
スケジュールや副反応について、少しでも不安なこと、分からないことがあれば、どんな些細なことでも構いません。私たち長田こどもクリニックにご相談ください。保護者の皆様の不安に寄り添いながら、お子さんの健やかな成長を全力でサポートさせていただきます。
不安な時こそ、すぐ相談!平日夜8時まで、働くパパ・ママをサポートします。お子さんの体調不良でお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。
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