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【日本初承認】水いぼの新治療薬「ワイキャンス」を徹底解説|杉並区・荻窪 長田こどもクリニック

 

 

【日本初承認】水いぼの新治療薬「ワイキャンス」を徹底解説|杉並区・荻窪 長田こどもクリニック

当院のブログが目指すこと:皮膚科治療への新しい取り組み

私たち杉並区荻窪の長田こどもクリニックは、エビデンス(科学的根拠)に基づいた最新・最善の医療を提供することを使命としています。これまで、水いぼ(伝染性軟属腫)の治療には、痛みを伴う処置や、効果が不確かな民間療法しかなく、私たち小児科医にとってもどかしい状況が続いていました。しかし、その常識が変わる時が来ました。

2024年12月、日本で初めて水いぼ治療薬として承認された「ワイキャンス®︎(一般名:カンタリジン)」が発売される見込みです。この記事では、この画期的な新薬について、どこよりも早く、そして詳しく、科学的根拠に基づいて徹底解説します。

はじめに:水いぼ治療の常識が変わります

「水いぼ、ピンセットで取るしかないと言われたけど、痛そうで…」「mBFクリーム®︎を試しているけど、なかなか治らない」—。お子さまの水いぼ治療において、多くの保護者の皆さまが、このようなジレンマを抱えてこられたのではないでしょうか。

これまでの水いぼ治療は、「痛みを我慢して物理的に除去する」か、「自然治癒を待つ」という、両極端な選択肢が中心でした。しかし、2025年12月、その状況は変化します。**病院で塗るだけで、水いぼを治療できる、日本で初めて保険適用となる薬「ワイキャンス®」**が登場するのです。

当院では、この画期的な新薬をいち早く導入し、お子さまとご家族の負担を軽減する、新しい水いぼ治療を提供してまいります。地域の皆さまに認知していただけるよう、どこよりも早く、そして詳しく、この新しい治療の全貌をお伝えします。

水いぼ(伝染性軟属腫)とは?なぜ治療が難しかったのか

水いぼの正式名称は「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」です。その名の通り、伝染性軟属腫ウイルスというウイルスへの感染が原因で、表面がツルツルした、光沢のある小さな(直径1〜5mm程度)いぼができます。特にお子さまの肌はバリア機能が未熟なため感染しやすく、乾燥肌やアトピー性皮膚炎があると、さらに広がりやすくなります。

水いぼは、命に関わる病気ではなく、免疫がつけば数ヶ月から2年程度で自然に治ると言われています。しかし、その間に自家接種(自分で掻き壊して広げること)で数が増えたり、他の子にうつしてしまったり、掻き壊した部分から細菌が入って「とびひ」になったりするリスクがあります。

これまで、水いぼに対するエビデンス(科学的根拠)のある保険適用の治療薬は、存在しませんでした。そのため、「痛みを伴うピンセットでの除去」や、効果が確立されていない自費の治療(mBFクリーム®︎など)に頼らざるを得なかったのです。

【革命的新薬】ワイキャンス®とは?治療の仕組み

ワイキャンス®の作用機序は明確ではありません。本剤は、表皮のデスモソームを脆弱化し、表皮構造を破壊することで、塗布部位に水疱を形成します。これにより水いぼが剥がれ落ち、ウイルス感染組織が除去されると考えられています。

ワイキャンス®の有効性:論文データで見る、その驚くべき効果

ワイキャンス®の有効性と安全性は、海外で行われた大規模な臨床試験によって証明されています。その結果は、世界的に権威のある医学雑誌「JAMA Dermatology」にも掲載されました[1]

臨床試験で示されたワイキャンス®の効果

この研究は、水いぼを持つお子さま891人を対象に行われました。一方のグループにはワイキャンス®を、もう一方のグループには有効成分の入っていない偽薬(プラセボ)を、1日1回、最大12週間塗布し、その効果を比較しました。

  • 12週間後に、全ての水いぼが完全に消失したお子さまの割合は、ワイキャンス®群で**32.4%**だったのに対し、偽薬群では19.7%でした。
  • 副作用は、塗った場所の赤みや痛み、かゆみなどが主でしたが、そのほとんどは軽度から中等度でした。

この結果は、ワイキャンス®が、偽薬と比較して、**統計学的にも有意に水いぼを治す効果がある**ことを明確に示しています。これは、これまでエビデンスのある治療薬がなかった水いぼ治療の歴史において、画期的なことです。

ワイキャンス®の具体的な使い方と注意点

ワイキャンス®は、クリニック内で塗る薬です

  • 使用回数:原則として、**3週間に1回**、病院内で使用します。
  • 塗り方:個々の水いぼを覆うように薄く塗ります。塗った後は、乾燥するまで(約10分程度)衣服などが触れないようにします。
  • 治療期間:効果を見ながら、最大で8回塗布するまで継続します。
  • 主な副反応:最も多いのは、塗った場所の赤み、灼熱感、痛み、かゆみ、皮膚炎などです。これらは、薬が免疫反応を引き起こしているサインでもありますが、症状が強い場合は医師に相談してください。
  • 塗った後のケア:病院で塗られた後16-24時間以降に洗い流す。痛みが強い場合は16時間を待たずに洗い流し医師に相談する。洗い流すまで保湿剤やローションは塗らない。

ワイキャンス®と他の治療法(mBFクリーム®など)との違い

当院では、これまで自費診療としてmBFクリーム®︎による治療も行ってきました。ワイキャンス®の登場により、治療の選択肢はどう変わるのでしょうか。

  • mBFクリーム®︎:皮膚の再生を促す成長因子(bFGF)を利用した治療法で、一部の患者さんには有効性が見られます。しかし、その効果には個人差が大きく、明確な有効性を示す大規模な臨床試験データはありませんでした。自費診療なのが難点でした。
  • ワイキャンス®︎:大規模な臨床試験で有効性が証明された、**日本で唯一の保険適用の水いぼ治療薬**です。これにより、全てのお子さまが、エビデンスに基づいた治療を、公的な医療保険(お子さまの場合は医療証)を使って受けられるようになります。

今後は、**科学的根拠が明確なワイキャンス®︎による治療が、水いぼ治療の第一選択**となっていく可能性があります。

長田こどもクリニックの新たな挑戦:水いぼ新治療を杉並区・荻窪から

私たちは、アトピー性皮膚炎をはじめとするお子さまの皮膚疾患に長年向き合う中で、小児の皮膚治療は医師とご両親で協力し治していくものと常に考えてきました。ともにどのようにフォローすればいいのか、治療の重要性に関する子供への説明など、小児科で対応するメリットは十分に感じていただけることと思います。ワイキャンス®の登場は、我々、そしてご家族にとって待望の選択肢となることと思います。

当院では、この最新治療をいち早く導入し、その効果を最大限に引き出すための正確な知識と技術をもって、お子さま一人ひとりに最適な治療を提供します。そして、この新しい治療の価値を、地域の皆さまに広く、そして正しく伝えていくことも、私たちの重要な使命だと考えています。

お忙しい保護者の皆さまへ:当院の診療体制

お仕事やご兄弟の送迎などで、日中の受診が難しい保護者の皆さまにも安心してご利用いただけるよう、当院は柔軟な診療体制を整えています。

  • 平日(月〜金)は、夜20時まで診療
  • 土曜日も、13時まで診療
  • クリニック前に、無料の専用駐車場を6台完備

「うちの子の水いぼ、新しい薬で治せるかも?」と思われたら、ぜひ一度、当院にご相談ください。杉並区荻窪で、最新・最善の水いぼ治療を提供することをお約束します。

長田こどもクリニック
杉並区荻窪の小児科・アレルギー科

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