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【小児科医が徹底解説】タミータイムはいつから始める?やり方、効果、嫌がる時のコツまで|杉並区・荻窪 長田こどもクリニック

 

 

【小児科医が徹底解説】タミータイムはいつから始める?やり方、効果、嫌がる時のコツまで【決定版】|杉並区・荻窪 長田こどもクリニック

当院のブログが目指すこと

インターネットで育児情報を検索する中で、多くの情報が個人の経験談であったり、医学的根拠が不明瞭であったりして、「どれが本当に信頼できる情報なのか分かりにくい」と感じたことはありませんか?私たち杉並区荻窪の長田こどもクリニックは、そうした保護者の皆さまの不安に応えるため、明確なエビデンス(科学的根拠)に基づいたブログ作成を心がけています。この記事も、世界中の医師が信頼を寄せる最新の医学論文レビューや、米国小児科学会(AAP)などの公的な推奨を基に、他の医療者から見ても妥当だと思っていただけるレベルで、「タミータイム」について徹底解説します。

タミータイムとは?赤ちゃんの未来を育む「うつ伏せ遊び」

タミータイム(Tummy Time)とは、赤ちゃんが起きている時間に、保護者の方が見守る中で、うつ伏せの姿勢で過ごす練習のことです。「Tummy」はお腹を意味する英語で、「お腹の時間=うつ伏せの時間」と考えると分かりやすいでしょう。これは単なる遊びではなく、赤ちゃんの心と体の発達に不可欠な、非常に重要な「トレーニング」なのです。

1992年に米国小児科学会(AAP)が、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを減らすために「仰向け寝(Back to Sleep)」を推奨して以来、赤ちゃんの命が数多く救われました。その一方で、赤ちゃんが日中起きている時間まで仰向けで過ごすことが増え、頭の形のゆがみ(位置的頭蓋変形)や、運動発達の遅れが懸念されるようになりました。そこで、その対策としてAAPが強く推奨し始めたのが、**「寝る時は仰向け、遊ぶ時はうつ伏せ(Back to Sleep, Tummy to Play)」**というスローガンであり、タミータイムなのです。

なぜタミータイムはこんなに重要?科学的根拠に基づく5つの効果

タミータイムが赤ちゃんの成長に良い影響を与えることは、数多くの研究によって証明されています。主な効果を5つご紹介します。

  • ① 運動能力の発達を促進する
    うつ伏せの姿勢は、赤ちゃんが重力に逆らって頭を持ち上げようとすることで、首や肩、背中、腕の筋肉を自然に鍛える絶好の機会です。この筋力は、その後の首すわり、寝返り、おすわり、はいはいといった、全ての運動発達の基礎となります。複数の研究を統合したシステマティックレビューでも、タミータイムが粗大運動能力(体全体の大きな動き)の発達に有益であることが示されています[1]
  • ② 頭の形のゆがみ(絶壁・斜頭)を予防・改善する
    仰向けで寝ている時間が長いと、後頭部の同じ場所に圧力がかかり続け、頭が平らになってしまうこと(位置的頭蓋変形)があります。タミータイムは、後頭部が地面から解放される時間を作ることで、この圧力を分散させ、頭の形のゆがみを予防・改善する効果があることが分かっています[2]
  • ③ 感覚・認知能力の発達を促す
    うつ伏せになると、赤ちゃんが見る世界は一変します。仰向けの時とは違う視点から周りを見渡し、床の感触を手で確かめ、自分の体をどう動かせば良いかを学びます。これにより、視覚、触覚、固有感覚(自分の体の位置や動きを感じる感覚)が刺激され、脳の発達が促されます。
  • ④ 親子の愛着形成(ボンディング)を深める
    タミータイムは、保護者の方と赤ちゃんが目を合わせ、語りかけ、触れ合う絶好の機会です。特に、保護者の方の胸の上で行うタミータイムは、赤ちゃんの安心感を育み、親子の強い絆(ボンディング)を形成するのに役立ちます。
  • ⑤ 斜頸(しゃけい)の予防・改善
    向き癖などによって首の筋肉のバランスが崩れ、片方にばかり首が傾いてしまう状態を「筋性斜頸」と言います。タミータイムは、赤ちゃんが自分で頭を動かし、左右均等に首の筋肉を使うことを促すため、斜頸の予防や改善にも効果が期待できます。

タミータイムを頑張っても頭の形が心配な方へ:当院の「頭のかたち外来」のご案内

タミータイムが頭の形の予防に重要であることは、ご理解いただけたかと思います。しかし、「毎日タミータイムを頑張っているのに、絶壁が治らない」「左右の頭の形が違う気がする」と、悩まれている保護者の方は少なくありません。

赤ちゃんの頭の骨は非常に柔らかく、向き癖などによってゆがみが生じることは決して珍しいことではありません。多くは成長と共に自然に改善していきますが、中には専門的な介入が必要となるケースもあります。何より、保護者の皆さまが一人で悩みを抱え続けるのは、とてもつらいことです。

一人で悩まず、専門家にご相談ください

当院では、そのような赤ちゃんの頭の形に関するあらゆるご相談をお受けする**「頭のかたち外来」**を設けております。

  • 専門の知識を持つ医師が、お子さまの頭の形を客観的に評価します。
  • ご家庭でできる、より効果的な体位変換やタミータイムの方法を具体的にアドバイスします。
  • 必要に応じて、ヘルメット治療などの専門的な治療法について、メリット・デメリットを含めて詳しくご説明し、最適な選択ができるようサポートします。

「これくらいで受診していいのかな?」などと、ためらう必要は全くありません。少しでも気になることがあれば、それは専門家に相談する十分な理由です。どうぞお気軽に、当院の「頭のかたち外来」をご利用ください。

タミータイムはいつから始める?月齢別の時間と目標

「タミータイムはいつから?」というご質問をよく受けますが、答えは**「病院を退院したその日から」**です。米国小児科学会(AAP)は、正期産で生まれた健康な赤ちゃんの場合、生後すぐから始めることを推奨しています。

もちろん、いきなり長時間行う必要はありません。赤ちゃんの様子を見ながら、少しずつ時間を延ばしていくのがコツです。以下に月齢ごとの目安を示します。

  • 新生児期(生後0ヶ月):
    目標:1回あたり30秒〜1分程度を、1日数回から。
    やり方:まずは保護者の方の胸やお腹の上で、肌と肌を触れ合わせながら行うのがおすすめです。赤ちゃんも安心して取り組めます。
  • 生後1〜2ヶ月:
    目標:1回あたり数分間を、1日数回。1日の合計で15〜30分を目指しましょう。
    やり方:少しずつ床の上での練習も取り入れていきます。まだ頭を上げる力は弱いですが、左右に顔を向ける練習になります。
  • 生後3〜4ヶ月:
    目標:1日の合計で60分以上を目指します。
    やり方:この頃になると、肘で体を支え、頭を45〜90度持ち上げられるようになってきます[1]。おもちゃを目の前に置いて興味を引くのも良いでしょう。
  • 生後5〜6ヶ月以降:
    目標:赤ちゃんが楽しんでいる限り、好きなだけ。
    やり方:腕を伸ばして上半身を高く持ち上げたり(飛行機のポーズ)、おもちゃに手を伸ばしたり、寝返りを始めたりします。タミータイムが「練習」から「遊び」へと変わっていく時期です。
    母親と子供が他見たータイムをして見つめ合っている画像

安全で楽しいタミータイムのやり方

タミータイムを成功させる秘訣は、「安全な環境」で「楽しく」行うことです。

準備するものとタイミング

  • 場所:硬めの床の上に、清潔なブランケットやプレイマットを敷いた場所が最適です。ソファやベッドの上は、窒息の危険があるため絶対に避けてください。
  • タイミング:赤ちゃんの機嫌が良い時を選びましょう。おむつ替えの後や、お昼寝から目覚めた後がおすすめです。授乳直後は吐き戻しの原因になるため、30分以上はあけましょう。

基本的なやり方

1. マットの上に赤ちゃんをうつ伏せに寝かせます。
2. 赤ちゃんの両腕を、胸の前で肘を曲げた状態にしてあげると、体を支えやすくなります。
3. 保護者の方も赤ちゃんの前にうつ伏せになり、目線を合わせて優しく語りかけたり、歌をうたったりしましょう。

楽しく続けるための工夫

  • おもちゃを使う:割れない鏡を赤ちゃんの前に置くと、自分の顔に興味を示します。カラフルな絵本や、音が鳴るおもちゃも効果的です。
  • 場所を変える:いつも同じ場所ではなく、リビングや子ども部屋など、場所を変えてみると、赤ちゃんの気分も変わります。
  • サポートグッズを使う:胸の下に、丸めたバスタオルや専用のクッションを入れてあげると、上半身が少し高くなり、楽に頭を持ち上げられるようになります。

保護者の悩み解決!タミータイムQ&Aコーナー

Q1. 嫌がってすぐ泣いてしまいます。どうすればいいですか?

A1. ほとんどの赤ちゃんが、最初はタミータイムを嫌がります。それは自然なことです。無理強いせず、まずは10秒、20秒から始めて、「うつ伏せは楽しい時間だ」と教えてあげることが大切です。保護者の方の胸の上で行う、歌をうたう、おもちゃで気を引くなど、様々な工夫を試してみてください。少しでもできたら、たくさん褒めてあげましょう。

Q2. 吐き戻し(ミルクの吐き戻し)が心配です。

A2. 授乳直後を避けることが最も重要です。食後30分〜1時間はあけましょう。うつ伏せにすることで、お腹が圧迫されて少量の吐き戻しをすることはよくあります。顔が横を向いていれば、吐いたものが気道を塞ぐことはまれですが、心配な場合は、上半身が少し高くなるように、胸の下にタオルなどを敷いてあげると良いでしょう。

Q3. 窒息が怖いです。安全な環境とは?

A3. 安全なタミータイムの絶対条件は、**①保護者の方が必ずそばで見守っていること**、**②周りに柔らかいもの(クッション、ぬいぐるみ、厚い掛け布団など)がない、硬めの平らな場所で行うこと**、の2点です。この2つが守られていれば、窒息のリスクは極めて低くなります。絶対に、うつ伏せにしたままその場を離れないでください。

Q4. 首がすわってからでは遅いですか?

A4. 遅すぎるということは決してありません。タミータイムは、首すわり後の寝返りやはいはいの発達にも繋がります。何歳からでも、気づいた時から始めてあげることが大切です。

Q5. タミータイム中に寝てしまったら?

A5. すぐに優しく仰向けの姿勢に戻してあげてください。SIDSのリスクを避けるため、「寝る時は必ず仰向け」の原則を徹底しましょう。

長田こどもクリニックの考え方:赤ちゃんの「育つ力」を信じ、サポートする

タミータイムは、時に保護者の皆さまにとって「やらなければいけない宿題」のように感じられ、プレッシャーになることもあるかもしれません。しかし、大切なのは、決められた時間をきっちり守ることよりも、**親子で楽しみながら、赤ちゃんの「自分で育とうとする力」を応援してあげることです。

当院では、ヘルメット治療を含めたご相談が出来る”頭の形外来”をおこなっております。

「うちの子、頭の形が気になる…」「なかなか首が上がらないけど大丈夫?」といった、日頃のちょっとした心配事も、ぜひ私たちにご相談ください。

お忙しい保護者の皆さまへ:いつでも頼れるクリニックとして

育児の悩みは尽きないものです。当院は、お仕事やご兄弟のことでお忙しい保護者の皆さまにも、気軽に相談にお越しいただけるよう、柔軟な診療体制を整えています。

  • 平日(月〜金)は、夜20時まで診療
  • 土曜日も、13時まで診療
  • クリニック前に、無料の専用駐車場を6台完備

杉並区荻窪で、赤ちゃんの成長とご家族の安心を、いつでもサポートします。

長田こどもクリニック
杉並区荻窪の小児科・アレルギー科

 

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