はじめに:夜、お子さんの急な体調不良で不安な保護者の皆様へ
夜間、かかりつけの小児科が閉まっている時間に、お子さんが突然高熱を出したり、苦しそうに嘔吐したりする、保護者の方にとっては非常に心配になることかと思います。お子さんがつらそうにしていると、「このまま様子を見ていいのだろうか」「救急車を呼べきか」「どこの病院へ行けばいいのか」と、焦りが募るのは当然のことです。
この記事は、そのような夜間の状況で、杉並区や練馬区にお住まいの保護者の皆様が、少しでも落ち着いて対応できるよう、小児科医の視点から作成しました。目的は、冷静な判断に必要な医学的情報を提供し、皆様の不安を和らげることです。
まず、救急車を呼ぶべき危険な症状の見分け方、専門家のアドバイスが受けられる電話相談窓口(#8000など)の活用法、そして「40度以上の発熱」や「嘔吐・下痢」といった具体的な症状に対するご家庭での対処法を、順を追ってご説明します。
さらに、杉並区と練馬区で夜間に受診できる小児科の医療機関をリストアップし、それぞれの役割や特徴をご紹介します。この情報が、お子さんとご家族の助けとなることを願っています。
まずは落ち着いて。受診を判断するための3つのステップ
お子さんの苦しい姿を見ると、誰でも冷静でいるのは難しいものです。しかし、こんな時こそ保護者の方が落ち着いて状況を整理することが、お子さんにとって最善の対応につながります。ここでは、適切な行動を選ぶための「判断の3ステップ」をご紹介します。
ステップ1:緊急性の高い症状のチェックリスト(迷わず119番に連絡していいチェックリスト)
以下の症状は、緊急対応が必要なサインかもしれません。ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。
- けいれんが5分以上続く、または止まっても意識がはっきりしない:短時間の熱性けいれんは比較的よく見られますが、5分以上続く場合や、けいれん後に意識が戻らずぐったりしている場合は、速やかな医療介入が必要です。
- 意識がない、呼びかけに反応しない:原因がわからない場合でも、意識レベルの低下は危険なサインです。体を強く揺さぶったりせず、すぐに救急車を要請してください。
- 呼吸が明らかに苦しそう:肩で息をしている、息を吸うときに喉や胸がへこむ(陥没呼吸)、顔色や唇が青白い(チアノーゼ)、ヒューヒュー・ゼーゼーという呼吸音が続くといった症状は、重い呼吸障害の可能性があります。
ステップ2:判断に迷ったときの電話相談窓口
「救急車を呼ぶほどではないかもしれないけれど、不安…」。そんな時は、専門家の助言が大きな助けになります。
- こども医療電話相談(#8000)
お住まいの都道府県の相談窓口につながり、小児科医師や看護師から、お子さんの症状に応じた対処法や受診の必要性についてアドバイスを受けられます。
(東京都の利用時間:平日18時~翌朝8時、土日祝 朝8時~翌朝8時) - 東京消防庁救急相談センター(#7119)
24時間365日対応しており、「救急車を呼んだほうがいいか」「今すぐ病院に行くべきか」といった相談に、医師や看護師などが対応します。#8000がつながりにくい場合にも有用です。
これらの電話相談を利用する際は、「お子さんの年齢・症状(熱、嘔吐の回数など)・経過・水分摂取の状況・普段との様子の違い」などを伝えると、より的確なアドバイスが得られます。
ステップ3:心配なので直接、小児科医に診てほしいと感じたら
電話相談がなかなかつながらなかったり、相談しても不安が残ったりすることもあるでしょう。「一度専門家に診てもらって安心したい」という気持ちに応えるのも、地域のクリニックの重要な役割です。そのような時は、お近くの夜間診療を行っている医療機関への受診をご検討ください。
当院でも、お電話で状況をお伺いした上で、平日毎日20時まで夜間診療を行っております。
長田こどもクリニック 電話番号:03-3334-2030
【症状別】ご家庭での対処法と受診を検討するタイミング
お子さんの急な体調不良で特に多い「高熱」と「嘔吐・下痢」。ご家庭でできることと、医療機関の受診を検討すべきタイミングを解説します。
A. 40度以上の高熱と「熱性けいれん」
高熱が出たときの考え方
40度という体温計の数字に驚かれるかもしれませんが、大切なのは熱の高さそのものよりも、お子さんの全身の状態です。「機嫌はどうか」「水分は摂れているか」などを観察してください。高熱でも水分が摂れ、比較的元気であれば、慌てて解熱剤を使う必要もありません。ただし本人の活気不良や原因検索という意味ではクリニックなどの医療機関へ受診していただければと思いますが大学病院などの二次医療機関以上の救急外来の受診は避けてください。
「熱性けいれん」への対応
発熱に伴うけいれんの多くは、数分で自然に収まり、後遺症もほとんど残りません。慌てずに以下の対応をお願いします。
- 安全の確保:平らな場所に寝かせ、周囲の危険なものを遠ざけます。衣服を緩め、楽な姿勢にしてください。
- 体を横向きに:吐いたもので喉を詰まらせないよう、体を横向きにします。
- 口には何も入れない:窒息の危険があるため、指やタオルなどを口に入れないでください。
- 観察と記録:けいれんが始まった時間と続いた時間を計ります。可能であれば、スマートフォンなどで様子を撮影しておくと、後の診断の参考になります。
けいれんで受診すべきタイミング
前述の通り、けいれんが5分以上続く場合や、意識が戻らない場合は救急車が必要です。また、短時間で収まった場合でも、医療機関を受診してください。5分以内のけいれんであれば救急車は不要です。
B. 止まらない「嘔吐・下痢」と「脱水症状」
ウイルス性胃腸炎などでは、嘔吐や下痢が続きます。最も注意すべきは「脱水症」です。
嘔吐への初期対応
嘔吐が激しいときは、まず胃を休ませることが大切です。最初は無理に経口摂取を進めるのではなく最後の嘔吐からすこし時間をあけて少量の水分摂取から開始して、様子を見ましょう。
脱水症状のチェックリスト
以下のサインに注意してください。
- 脱水のサイン:唇や口の中が乾いている、おしっこの回数や量が減る、泣いても涙が少ない。
- 重症脱水のサイン:目が落ちくぼんでいる、ぐったりして元気がない、顔色が悪い、皮膚の張りがない(手の甲の皮膚をつまんで離したとき、すぐ元に戻らない)
ご家庭での水分補給のポイント
水分補給を再開する際は、体への吸収がよい経口補水液(ORS:例えばOS-1など)が適しています。スプーンやスポイトで少量(5〜10ml)を5〜10分おきに、根気よく与えるのがコツです。
嘔吐・下痢で受診すべきタイミング
- 上記の「注意が必要なサイン」が一つでも見られる。
- 経口補水液を与えても吐いてしまい、水分補給が全くできない。
- 吐いたものに緑色の液体(胆汁)や血液が混じっている。
- 激しい腹痛を訴える、血便が出た。
これらの基準を参考に、ご家庭でのケアと医療機関への受診のタイミングを判断してください。
【杉並区】小児科の夜間診療・救急機関リスト
杉並区内で夜間にお子さんの急病に対応している主な医療機関です。状況に応じて最適な場所を選べるよう、情報をまとめました。受診前には必ず各医療機関に電話で連絡し、症状を伝えてください。
施設名 | 住所 | 電話番号 | 主な診療時間(小児科・夜間) | 特徴・注意点 |
---|---|---|---|---|
長田こどもクリニック | 杉並区南荻窪1-31-14 | 03-3334-2030 |
【平日毎日】 18:00~20:00 【土曜】 9:00~13:00 |
荻窪にある地域密着型の小児科。公的夜間診療の開始前や仕事帰りの時間帯に受診しやすいのが特徴です。 |
杉並区休日等夜間急病診療所 | 杉並区荻窪5-20-1 | 03-3391-1599 | 【平日】19:30~22:30 【土曜】17:00~22:00 |
入院を必要としない初期救急が対象。 |
東京衛生アドベンチスト病院 | 杉並区天沼3-17-3 | 03-3392-6151 | 【月~金】夜間対応22:30まで(要確認) | 一次救急医療機関。平日夜間に対応。受診前に要電話。 |
杏林大学医学部付属杉並病院 | 杉並区和田2-25-1 | 03-3383-1281 | 24時間救急対応(要電話確認) | 二次救急医療機関。入院などが必要な重症度の高い患者に対応。 |
河北総合病院 | 小児科の夜間対応中止中(2025/7現在) |
杉並区の夜間医療は、地域の診療所や病院が初期対応を担い、より専門的な治療が必要な場合は基幹病院が受け入れる体制になっています。その中で、長田こどもクリニックは、多くの保護者の方が帰宅される18時から20時という時間帯の診療ニーズに対応しています。
【練馬区】小児科の夜間診療・救急機関リスト
杉並区に隣接する練馬区の医療機関も選択肢になります。
施設名 | 住所 | 電話番号 | 主な診療時間(小児科・夜間) | 特徴・注意点 |
---|---|---|---|---|
練馬区夜間救急こどもクリニック | 練馬区豊玉北6-12-1 | 03-3994-2238 | 【平日】20:00~22:30 | 15歳以下対象の小児科専門。原則予約制。 |
順天堂大学医学部附属練馬病院 | 練馬区高野台3-1-10 | 03-5923-3111 | 24時間救急対応(要電話確認) | 二次・三次救急医療機関。練馬区の基幹病院。 |
その他クリニック |
練馬区の公的な平日夜間小児科は20時開始のため、18時台、19時台に受診したい場合、杉並区の長田こどもクリニックも、特に区境にお住まいの方にとっては選択肢の一つとなり得ます。
荻窪の長田こどもクリニックが、地域の皆様にできること
- 平日毎日18時から20時の夜間診療
当院は、平日の月・火・木・金、18時から20時まで夜間診療を行っています。これは、杉並区の夜間急病診療所(19:30開始)や練馬区の夜間救急こどもクリニック(20:00開始)が開く前の時間帯です。「今すぐ専門家に診てほしい」というご要望にお応えします。 - 地域のかかりつけ医としての安心感
荻窪に根差したクリニックとして、温かみのある対応を心がけています。高熱や嘔吐など、つらい症状がありながらも入院は必要ないようなケースで、小児科医が的確な診断と処方を行います。 - 当院近隣の薬局が当院閉院までサポート
当院は院外処方ですが夜間も近隣薬局が開いていますので、処方された薬をもらうことが可能です。 - 杉並区・練馬区からのアクセスの良さ
当院は荻窪にあり、杉並区内はもちろん、環八通りなどを利用して練馬区の一部エリアからもアクセスしやすい立地です。駐車場も6台用意しています。公的な夜間診療が始まる前の時間帯に受診先を探している練馬区の保護者の方にとっても、身近な選択肢でありたいと願っています。
お子さんの急な病状で不安な夜、重篤な状態でなければ、まずは長田こどもクリニックへご相談ください。私たちは、地域の子供たちの健康を守る身近な存在でありたいと考えています。
医療法人社団厚洋会 長田こどもクリニック
- 住所: 〒167-0052 東京都杉並区南荻窪一丁目31番14号 1階
- 電話番号: 03-3334-2030
- 夜間診療時間: 月・火・木・金 18:00 - 20:00
- ウェブサイト: https://www.osadaclinic.com/
- 地図: アクセス方法
まとめ:いざという時のために、夜間診療のある病院を把握しておきましょう
夜間にお子さんが急病になった時に、保護者の方が落ち着いて行動するためのポイントは以下の通りです。
- まず危険なサインがないか確認し、あれば迷わず119番へ。
- 判断に迷えば、#8000や#7119で専門家に相談する。
- 高熱や嘔吐の際は、ご家庭での正しいケアを知りましょう。
- お住まいの地域の夜間診療体制を、平時から把握しておく。
長田こどもクリニックは、仕事帰りの時間帯や、公的機関が動き出す前の時間に生じる医療ニーズに応えるため、平日18時から20時まで夜間診療を行っています。「大病院の救急外来に行くべきか迷うけれど、つらい症状を早く診てほしい」。そんな時は、ぜひ当院にご相談ください。
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