ブログ

アトピーで顔・首・目の周りが黒い原因は?色素沈着を治す方法!|杉並区・荻窪・長田こどもクリニック

 

 

アトピーで顔・首・目の周りが黒い原因は?色素沈着を治す方法!|杉並区・荻窪・長田こどもクリニック

当院のブログが目指すこと:エビデンスに基づく皮膚科診療

私たち杉並区荻窪の長田こどもクリニックは、小児アトピー性皮膚炎の治療に長年力を入れてまいりました。インターネットで医療情報を検索する中で、多くの情報が個人の経験談であったり、医学的根拠が不明瞭であったりして、「どれが本当に信頼できる情報なのか分かりにくい」と感じたことはありませんか?

当院のブログは、そうした保護者の皆さまの不安に応えるため、明確なエビデンス(科学的根拠)に基づいた情報発信を心がけています。この記事も、「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024(日本皮膚科学会)」[1]「米国皮膚科学会(AAD)ガイドライン 2024」[2]など、最新の信頼できる情報を基に、他の医療者から見ても妥当だと思っていただけるレベルで、「アトピー性皮膚炎による色素沈着」について徹底解説します。

はじめに:「顔が黒い…」保護者の皆さまの最大の誤解と不安

お子さまの顔、特に目や口のまわり、首すじが、だんだんと黒ずんできた…。アトピー性皮膚炎の治療を続けている保護者の皆さまの中には、湿疹そのものと同様に、この「色素沈着」に深く悩まれている方が少なくありません。

「ステロイドを塗り続けているから、黒くなったのでは?」「この黒ずみは、大人になっても治らないの?」— その不安は、インターネット上の不正確な情報によって、さらに増幅されているかもしれません。

この記事では、まずその最大の誤解を解くところから始めましょう。そして、なぜ皮膚が黒くなるのか、どうすれば改善できるのかを、最新の医学的知見に基づいて徹底的に解説します。結論から言えば、その黒ずみは、適切な治療で炎症をコントロールし続けることで、改善が期待できます。黒さが進行している時点で治療はうまくいっていません。まずは当院にご相談下さい。

顔が黒くなる2つの医学的理由:「炎症」と「摩擦」

アトピー性皮膚炎で顔や首が黒ずんで見える原因は、主に2つあります。これらは似ているようで、メカニズムが異なります。

① 炎症後色素沈着(PIH):湿疹という「火事」の“焼け跡”

これが最も一般的な原因です。皮膚で湿疹という「炎症(火事)」が起こると、皮膚を守ろうとして、表皮にある色素細胞(メラノサイト)が活発になり、メラニン色素を過剰に作り出します。このメラニンが皮膚に沈着し、茶色っぽい「シミ」のようになった状態が、炎症後色素沈着(PIH)です[3]。これは、ニキビあとや虫刺されあとが黒ずむのと同じ原理です。

② 苔癬化(たいせんか):掻き壊しによる皮膚の「変性」

特に首や肘・膝の裏など、慢性的にかゆみが続く場所に見られます。長期間にわたって掻き続ける(摩擦)と、皮膚が防御反応として厚く、硬くゴワゴワになります。これを**苔癬化**と呼びます。苔癬化した皮膚は、表面のキメが粗くなり、光の反射が変わることで、**灰色がかった黒ずみ**(いわゆる「ダーティネック」)として見えるようになります。

つまり、お子さまの顔や首が黒ずんでいるのは、**「炎症の跡(メラニン)」**と**「掻き壊しの結果(皮膚の肥厚)」**が混在した状態なのです。

【最重要】色素沈着の根本原因は「ステロイド」ではなく「不十分な治療」

保護者の皆さまから最も多く寄せられるご質問が、「ステロイドを塗っているから黒くなったのでは?」というものです。この点は、明確に否定させてください。

色素沈着は、ステロイドの副作用ではありません。正反対に、ステロイドによる治療が“不十分”なために、皮膚の「炎症」が長引いていることが最大の原因です。

ステロイド外用薬は、皮膚の炎症という「火事」を消すための薬です。火事が長引けば長引くほど、焼け跡(=色素沈着)は濃く、深くなります。ステロイドを怖がり、塗る量を減らしたり、すぐにやめてしまったりすると、火事が完全に鎮火しないまま、くすぶり続けることになります。この**「中途半端な炎症」**がダラダラと続くことこそが、メラノサイトを刺激し続け、色素沈着を悪化させる最大の要因なのです。

「ステロイドで顔が黒くなる」という誤解は、「ステロイドで顔が赤くなる(酒さ様皮膚炎)」という、非常にまれな副作用(これは不適切な長期使用で起こり得ます)と混同されている可能性もあります。正しく使えば、ステロイドは色素沈着の「原因」ではなく、炎症を抑えて色素沈着を「予防」するための、最も重要な**「治療薬」**です。

治療のゴール:肌を白くするのではなく、「炎症のない肌」を維持すること

「では、この黒ずみは治りますか?」— はい、改善は十分に期待できます。ただし、それには**「順番」**と**「時間」**が必要です。

まず、美白化粧水やビタミンC製剤を塗っても、アトピーの色素沈着は治りません。それらの刺激で、かえって炎症が悪化することさえあります。米国皮膚科学会(AAD)のガイドラインでも、治療の基本は、まず**「アトピー性皮膚炎そのもののコントロール」**であると強調されています[2]

皮膚に沈着したメラニン色素は、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)によって、数ヶ月から数年という長い時間をかけて、少しずつ排出されていきます。しかし、**このターンオーバーのサイクル中に、たとえ1回でも強い炎症(再燃)が起これば、また新しいメラニンが作られ、努力は振り出しに戻ってしまいます。**

したがって、色素沈着を治すための治療とは、肌を白くする治療ではなく、「これ以上、絶対に新しい炎症を起こさせない」ための、地道な「炎症コントロール」に他なりません。当院にかかっていただければ医師が治療方針を立て、ご家族にしっかりと治療していただくことでコントロールは可能となります。

色素沈着を改善させるための「プロアクティブ療法」という最善策

では、どうすれば炎症をゼロの状態で維持できるのでしょうか。そこで登場するのが、現代のアトピー性皮膚炎治療の主流である**「プロアクティブ(寛解維持)療法」**です。

これは、従来の「赤くなったら塗る(リアクティブ療法)」とは真逆の発想です。

日本のガイドラインでも強く推奨されているこの治療法[1]は、目に見えない「火種(微小炎症)」のレベルで炎症を抑え込み、再燃を防ぎます。この**「炎症のない期間」**をどれだけ長く作れるかが、色素沈着の改善スピードに直結するのです。
しかしコントロール不良のアトピー性皮膚炎を寛解に持って行くにはコツがある程度必要です。当院で詳しくご説明します。

(プロアクティブ療法の詳細については、こちらの記事もご覧ください:ロコイド軟膏を「悪い所に塗るだけ」では、アトピーのかゆみは治りません

顔のアトピー Q&Aコーナー

Q1. 目の周りの黒ずみが、クマのようで可哀想です。

A1. 目の周りの皮膚は特に薄く、アレルギー性鼻炎などで目をこする「摩擦」も加わりやすいため、色素沈着が目立ちやすい場所です。治療の基本は同じで、ステロイドやタクロリムス軟膏®(プロトピック®)で炎症をしっかり抑えることです。タクロリムス軟膏®は、目の周りにも安全に長期間使用できるため、維持療法に最適です。

Q2. 美白化粧水やビタミンCは使ってもいいですか?

A2. **推奨しません。** アトピー性皮膚炎のお子さまの肌は、バリア機能が低下しており、非常にデリケートです。市販の美白化粧品に含まれる成分(ビタミンC、アルコールなど)は、強い刺激となり、かえって炎症を悪化させるリスクがあります。まずは皮膚科で処方される保湿剤と抗炎症薬で、「健康な肌の土台」を取り戻すことに集中してください。

Q3. どのくらいで黒ずみは治りますか?

A3. 皮膚のターンオーバーには時間がかかるため、残念ながら「1ヶ月で治る」といった魔法はありません。炎症が完全にコントロールされた状態を維持できて、**早くて数ヶ月、通常は半年から数年単位**でのゆっくりとした改善を目指します。焦らず、根気強く「炎症ゼロ」の状態をキープすることが一番の近道です。

長田こどもクリニックの考え方:私たちは「色素沈着の原因」から治療します

当院は、小児アトピー性皮膚炎の治療に長年力を入れてきました。私たちは、お子さまの顔が黒ずんでいる時、「シミを消す」治療は行いません。その代わり、**「なぜシミができるのか」という根本原因、すなわち「皮膚の炎症」を徹底的にコントロールする**治療を行います。

アトピー性皮膚炎は、高血圧や糖尿病と同じ「慢性疾患」です。「かゆみや湿疹がない状態」をいかに長く維持するかが、お子さまのQOL、そして将来の肌を決定づけます。当院では、アトピー性皮膚炎の管理経験豊富な医師が、プロアクティブ療法という治療計画を、保護者の皆さまと二人三脚で立て、日々のスキンケアまで丁寧に指導します。

お忙しい保護者の皆さまへ:当院の診療体制

アトピー性皮膚炎の治療は、定期的な通院による医師のチェックが欠かせません。当院は、お仕事などで日中の受診が難しい保護者の皆さまにも安心して通院を続けていただけるよう、柔軟な診療体制を整えています。

  • 平日(月〜金)は、夜20時まで診療
  • 土曜日も、13時まで診療
  • クリニック前に、無料の専用駐車場を6台完備

杉並区荻窪で、お子さまの肌の悩みに、根本から向き合います。「この黒ずみは治るの?」と不安に思われたら、お一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。

長田こどもクリニック
杉並区荻窪の小児科・アレルギー科

TOPへ