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【小児科医が解説】ロコイド軟膏を「悪い所に塗るだけ」では、アトピーのかゆみは治りません|杉並区・荻窪

【小児科医が解説】ロコイド軟膏を「悪い所に塗るだけ」では、アトピーのかゆみは治りません|杉並区・荻窪

【小児科医が解説】ロコイド軟膏を「悪い所に塗るだけ」では、アトピーのかゆみは治りません|杉並区・荻窪

当院のブログが目指すこと:皮膚科治療への強いこだわり

私たち杉並区荻窪の長田こどもクリニックは、小児アトピー性皮膚炎の治療に長年力を入れてまいりました。インターネットで医療情報を検索する中で、多くの情報が個人の経験談であったり、医学的根拠が不明瞭であったりして、「どれが本当に信頼できる情報なのか分かりにくい」と感じたことはありませんか?

当院のブログは、そうした保護者の皆さまの不安に応えるため、明確なエビデンス(科学的根拠)に基づいた情報発信を心がけています。この記事も、「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」[1]「米国皮膚科学会(AAD)ガイドライン」[2]など、最新の信頼できる情報を基に、他の医療者から見ても妥当だと思っていただけるレベルで、「アトピー性皮膚炎の治療」について徹底解説します。

はじめに:「ロコイド軟膏®を塗っても、かゆがる…」なぜ?

お子さまがアトピー性皮膚炎と診断され、「ロコイド軟膏®」や「キンダベート®軟膏」といったステロイド薬を処方された。「悪いところに塗ってね」と言われた通りに塗っているのに、一時的に良くなっても、やめるとすぐにぶり返してしまう…。お子さまは夜中もかゆがり、肌はなかなかツルツルにならない。

そんな**「いたちごっこ」**の治療に、親子共々疲れ果ててしまっていませんか?

もし、そう感じていらっしゃるなら、それは保護者の皆さまの塗り方が悪いのでも、お子さまの体質だけのせいでもありません。その原因は、**「悪いところに塗るだけ」という治療法(リアクティブ療法)そのものの限界**にあるのかもしれません。

この記事では、なぜその治療法ではかゆみが再発するのか、そして、かゆみのない生活を手に入れるための最新の治療法**「プロアクティブ療法」**とは何かを、科学的根拠に基づいて徹底的に解説します。そして、アトピー性皮膚炎の治療に長年力を入れてきた当院が、どのような想いで、どのような具体的なプランで治療を進めているのかをお伝えします。

「ロコイド軟膏®」とは?ステロイドの「強さ」の基本

まず、処方された薬について正しく知りましょう。ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎の「炎症(火事)」を消すために最も重要で、世界的に標準とされている薬です[2]

これらの薬は、その強さによって5つのランクに分類されています。

  • Strongest(最も強い)
  • Very Strong(とても強い)
  • Strong(強い)
  • Medium(ふつう) ← **ロコイド軟膏®** はここ
  • Weak(弱い) ← キンダベート®軟膏 はここ

ロコイド軟膏®(一般名:ヒドロコルチゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル)は、この中で「Medium(ふつう)」ランクに分類されます。これは、お子さまの体幹や手足、そして状態によっては顔にも使われる、小児科で最もよく処方される比較的弱いステロイドの一つです。

なぜ「悪いところに塗るだけ」ではダメなのか?(リアクティブ療法)

「湿疹が赤くなったら塗って、良くなったらやめる」という治療法は、**「リアクティブ(Reactive)療法」**と呼ばれます。これは、一見すると合理的ですが、アトピー性皮膚炎という病気の本質を捉えきれていません。

アトピー性皮膚炎のお子さまの皮膚は、一見きれいに見えても、皮膚の下では目に見えない**「微小炎症」**がくすぶっています。例えるなら、**鎮火したように見える野原の、地中深くに「火種」が残っている状態**です。

リアクティブ療法は、この火種が再び燃え上がって、目に見える「火事(=湿疹)」になってから慌てて水をかけるようなものです。これでは、火事を一時的に消すことはできても、火種が残っている限り、乾燥や汗といった些細なきっかけで、何度でも再燃してしまいます。これが、「ロコイドを塗っても、かゆみがぶり返す」ことの正体です。

この悪循環こそが、保護者の皆さまを悩ませる「いたちごっこ」の原因なのです。

【当院の治療方針】かゆみのない生活を目指す「プロアクティブ療法」

この悪循環を断ち切るために、現在のアトピー性皮膚炎治療のグローバル・スタンダードとなっているのが**「プロアクティブ(Proactive)療法」**です[1]

これは、リアクティブ療法とは全く逆の発想です。

  1. まず、ステロイド外用薬をしっかり使い、目に見える火事(湿疹)を完全に消し去ります(寛解導入)。
  2. 肌がツルツルになった後も、その後の治療のコツがあります。
  3. 一見きれいに見えるその皮膚に、手入れとして適宜私達が選択した軟膏を塗り続けます。

目に見える火事だけでなく、地中にくすぶる**「火種(微小炎症)」**までも、予防的にコントロールしてしまうのです。これにより、再燃の頻度を劇的に減らし、「かゆみのない、快適な生活」を長期間維持することが可能になります。

(アトピー性皮膚炎とかゆみのメカニズムについては、こちらの記事もご覧ください:【小児科医が徹底解説】「体がかゆい」原因は?

当院の治療プラン:二人三脚で「寛解維持」を目指す道のり

当院は、アトピー性皮膚炎のような慢性疾患の管理に長年力を入れてきました。私達の治療法こそが、お子さまをかゆみの苦しみから解放する最善の道であると確信しています。そのために、当院では以下の治療プランをご家族と一緒に進めていきます。

Step 1:急性炎症期(寛解導入フェーズ)

【目的】今ある「かゆみと湿疹」を、できるだけ早くゼロに近づける

まずは、中途半端に抑えるのではなく、ロコイド軟膏®などの適切な強さのステロイドを、十分な量(FTU)使って、皮膚の「火事」を完全に鎮火させます。この時期は、スキンケアと薬の塗り方をマスターする大切な時期でもあります。

Step 2:維持期(プロアクティブ療法フェーズ)

【目的】「かゆみのない肌」を維持し、再燃を防ぐ

肌がツルツルになったら、ここからが本番です。くすぶる「火種」を抑えるため、予防的な軟膏塗布を開始します。この治療を根気強く続けることが、お子さまのQOLを決定づけます。

長田こどもクリニックの「15-20分初回説明」にかける想い

「悪いところに塗るだけ」の治療がなぜ今も行われているのか。それは、「プロアクティブ療法」が、保護者の皆さまのご理解とご協力なしには、絶対に成功しない治療法だからです。なぜステロイドが必要なのか、なぜ保湿が必要なのか、なぜ症状がなくても塗るのか—。その全てを理解していただく必要があります。

だからこそ当院では、プロアクティブ療法の導入を決意されたご家族には、特別な時間をお取りしています。

当院の「アトピー治療 初回導入」のご案内

当院で初めて本格的なアトピー性皮膚炎治療(プロアクティブ療法)を開始される際には、**通常の予約枠の5〜7倍にあたる、15分から20分の特別な説明時間**を確保しています。

この時間で、医師と看護師が、お子さまの肌の状態、ガイドラインに基づいた最新の治療法、そして保湿剤とステロイドの具体的な塗り方(FTU)まで、一対一で徹底的にご説明し、ご家族の不安や疑問に全てお答えします。この深い相互理解こそが、治療成功の第一歩です。

この特別な時間を確保するため、**アトピー治療の初回相談をご希望の方は、必ず事前に電話予約またはWEB予約をお願いします。**

治療を始めるのに、「遅い」はありません。今、「ロコイド軟膏を塗っても治らない」と悩んでいる瞬間が、本当の治療を始める絶好のタイミングです。ぜひ一度、当院にご相談ください。

お忙しい保護者の皆さまへ:当院の診療体制

アトピー性皮膚炎の治療は、定期的な通院による医師のチェックが欠かせません。当院は、お仕事などで日中の受診が難しい保護者の皆さまにも安心して通院を続けていただけるよう、柔軟な診療体制を整えています。

  • 平日(月〜金)は、夜20時まで診療
  • 土曜日も、13時まで診療
  • クリニック前に、無料の専用駐車場を6台完備

杉並区荻窪で、お子さまのかゆみに、根本から向き合います。

長田こどもクリニック
杉並区荻窪の小児科・アレルギー科

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