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【東京・杉並区】「ヘパリン類似物質」だけでアトピーは治らない?保湿剤(モイスチャライザーとエモリエント)の正しい使い分け|長田こどもクリニック

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【東京・杉並区】「ヘパリン類似物質」だけでアトピーは治らない?保湿剤(モイスチャライザーとエモリエント)の正しい使い分け|長田こどもクリニック

その保湿ケア、お子さまの肌に合っていますか?

「病院で出されたピンクのチューブ(ヘパリン類似物質)を塗っているのに、すぐにカサカサする」「ローションとクリーム、どっちがいいの?」

杉並区荻窪の長田こどもクリニックでも、このようなご相談を毎日のように受けます。通称「ヒルドイド」などで知られるヘパリン類似物質は、非常に優れた保湿剤ですが、実は「これ一本」では不十分なケースがあることをご存知でしょうか?
本記事では、科学的根拠(エビデンス)に基づき、ヘパリン類似物質の正しい効果と、ワセリンなどの「エモリエント」との決定的な違いについて解説します。

そもそも「ヘパリン類似物質」とは?3つの効果

ヘパリン類似物質は、50年以上前から乾燥肌の治療に使われている医療用成分です。皮膚の奥(角質層)まで浸透し、以下の3つの作用を発揮することが医学的に証明されています[1]

  • ① 高い保湿作用: 角質層の水分保持機能を高め、肌に潤いを与えます(ラメラ構造の修復)。
  • ② 血行促進作用: 血液の流れを良くし、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)を促します。
  • ③ 抗炎症作用: 慢性的な皮膚の炎症を穏やかに鎮める働きがあります。

この「血行促進作用」があるため、しもやけの治療などにも使われますが、逆に「出血しやすい部位」や「傷口」には塗ってはいけないという注意点もあります。

ローション・クリーム・油性クリーム・泡スプレーの違いと使い分け

同じ「ヘパリン類似物質」でも、基剤(ベースとなる成分)によって使い心地や適した部位が異なります。季節や肌の状態に合わせて使い分けることが重要です。

種類 特徴・メリット おすすめの季節・部位
油性クリーム
(ソフト軟膏)
油分が多く、最も保湿力が高い(カバー力が強い)。 冬場、乾燥が強い部分。
クリーム 水と油のバランスが良い。しっとりするがベタつきにくい。 春・秋、全身、手足。
ローション
(乳液タイプ)
水分と油分が含まれ、白くトロッとしている。伸びが良い。 夏場、背中やお腹などの広範囲。
ローション
(水性・溶液タイプ)
透明な液体で、さらっとしている。油分をほとんど含まない。 頭皮、体毛が濃い部分、ニキビができやすい部位。
泡状スプレー 泡で出てくるため、垂れにくく広げやすい。摩擦が少ない。 動き回るお子さまの全身、背中。

【重要】「モイスチャライザー」と「エモリエント」の決定的な違い

ここが今回の記事で最もお伝えしたいポイントです。
保湿剤は、その作用の仕組みによって大きく2種類に分類されます[2]

1. モイスチャライザー(Humectant)

代表例:ヘパリン類似物質、尿素
スポンジのように「水分を抱え込む」性質があります。角質層の中で水分をキャッチし、肌の内側を潤わせます。

2. エモリエント(Emollient)

代表例:ワセリン(プロペト)、亜鉛華軟膏
皮膚の表面に油の膜を張り、「水分が蒸発しないように蓋(フタ)をする」性質があります。バリア機能の代わりになります。

ヘパリン類似物質だけでは「蓋(フタ)」が足りない?

アトピー性皮膚炎のお子さまは、皮膚のバリア機能が壊れており、水分がどんどん蒸発していく状態にあります。

ヘパリン類似物質(特にローションや泡スプレー)は優れた「モイスチャライザー」ですが、「エモリエント(蓋)」としての機能は、ワセリンなどの油分に比べると弱い場合があります。

理想的な使い方は「ハイブリッド」

重度の乾燥肌や、アトピー性皮膚炎でバリア機能が著しく低下している場合は、エモリエントとモイスチャライザーの調整および併用が推奨されることがあります。

  • ① まず、ヘパリン類似物質で「水分を与える」(モイスチャライザー)
  • ② その上から、ワセリンで「蓋をする」(エモリエント)

「ヘパリン類似物質を塗っているのにカサカサが治らない」という場合は、この「蓋」が足りていない可能性があります。当院では、お子さまの肌質を見極め、油性クリーム(ソフト軟膏)への変更や、ワセリンとの重ね塗り(重層塗布)を指導しています。モイスチャライザーとエモリエントには良い割合がありますので、当院では診察に合わせて調整し処方しています。

よくある質問 Q&A(顔への使用、副作用など)

ヘパリン類似物質は顔に塗っても大丈夫ですか?

はい、基本的に問題ありません。ただし、ローションタイプなどは目に入るとしみることがあるため、目の周りは避けるか、慎重に塗ってください。また、ニキビがある場合は、油分の多いクリームや軟膏を塗ると悪化させることがあるため、医師に相談してください。

副作用で肌が赤くなることはありますか?

ヘパリン類似物質には「血行促進作用」があるため、塗った直後に血流が良くなり、一時的に赤くなったり、痒みを感じたりすることがあります(温感)。多くは一時的ですが、赤みが続く場合や、湿疹が悪化する場合は「かぶれ(接触皮膚炎)」の可能性もあるため、使用を中止して受診してください。

市販のヘパリン類似物質と処方薬の違いは?

有効成分(ヘパリン類似物質)の濃度は、市販薬でも処方薬と同じ0.3%のものが多いです。しかし、基剤(添加物)の配合が異なるため、使用感や刺激性が違うことがあります。また、病院では医師の診察のもと、炎症がある部位にはステロイド外用薬、乾燥部位には保湿剤と、きめ細やかな使い分けを指導できる点が最大の「違い」です。

「保湿しても治らない」場合はアトピー専門外来へ

保湿はアトピー治療の基礎(ベース)ですが、すでに起きてしまった「炎症(赤み・痒み)」は、保湿剤だけでは治せません。

「ヘパリン類似物質を毎日塗っているのに良くならない」「すぐにぶり返す」という場合は、皮膚の下で炎症がくすぶっている可能性があります。当院では、炎症の程度を評価し、適切な抗炎症薬(ステロイドやコレクチム、モイゼルトなど)と適切な保湿剤のベストな組み合わせを提案します。季節や本人の皮膚をみて保湿剤の種類も調整しています。

お忙しい保護者の皆さまへ:当院の診療体制
  • 平日(月〜金)は、夜20時まで診療
  • 土曜日も、13時まで診療
  • クリニック前に、無料の専用駐車場を6台完備

初診の方は、WEB予約の際 ”初診”→”事前予約”→”湿疹・アトピー性皮膚炎”でご予約下さい。当日受診希望の場合はお電話にてお問い合わせください。

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参考文献

  1. 日本皮膚科学会ガイドライン. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024.
  2. Moncrieff G, et al. Use of emollients in dry-skin conditions: consensus statement. Clin Exp Dermatol. 2013;38(3):231-8.
  3. Kawashima M, et al. Clinical efficacy and safety of a heparinoid-containing moisturizer in patients with dry skin. J Dermatol. 2019.

長田こどもクリニック
杉並区荻窪の小児科・アレルギー科

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