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【杉並区荻窪 小児アトピー 治らないと諦めないで】科学的データで見る新常識『プロアクティブ療法』

【杉並区荻窪で小児アトピー 治らないと諦めないで】科学的データで見る新常識『プロアクティブ療法』〜繰り返す湿疹とかゆみを断ち切るために〜

 

「今日も掻きむしって、皮膚ががさがさ…昨日は肘だったのに今日は膝の裏…」
朝、お子さんの皮膚を見てどうしたらいいのか悩んでいませんか?

「ステロイドを塗ると魔法のように良くなる。でも、やめた途端にじわじわと赤みが戻ってくる…」
その繰り返しの先に、本当に終わりはあるのだろうか。

小児アトピー性皮膚炎との長い闘いは、
お子さん本人だけでなく、ご家族、特にお父さん、お母さんの心をも少しずつ削っていくものだと思います。

こんにちは。長田こどもクリニックです。
当院の診察室では、こうした切実なお悩み、不安、などを毎日のようにご両親から伺っています。
そのお気持ちは痛いほどよく分かります。

しかし、もし今のお子さんの治療が、「悪くなったら塗る」の繰り返しになっているとしたら、、「悪くなったらこのステロイドを塗ってね」と医師から指導されているのだとしたら、それは、今の時代の「標準」とは少し違うアプローチなのかもしれません。

この記事では、なぜアトピーがこれほどまでにしつこく繰り返すのか、
その根本原因から、再発のループを断ち切るための
科学的根拠(エビデンス)に基づいた新しい標準治療『プロアクティブ療法』について、
具体的なデータも交えながら、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。

この記事を読んで頂き、暗いトンネルの中にいる親子にとって、少しでも希望の光となることを願っています。


なぜ?良くなったはずの肌が、また湿疹を起こす本当の理由

これまでの悪くなったらステロイドを塗るアトピー治療は「リアクティブ療法」と呼ばれ、
湿疹や赤みといった「目に見える症状」が出てからお薬を塗るのが基本でした。
いわば「火事が燃え広がってから、大慌てで消火する」というアプローチです。

もちろん、この治療で火事を消す(症状を抑える)ことはできます。
しかし、すぐにまた小さな火種から燃え広がってしまう。
その理由は、アトピー性皮膚炎の肌が持つ、根本的な特徴にありました。

“火種”が残っている » 肌の奥深くの静かな炎症

最新の研究で、アトピー性皮膚炎の肌は、
「一見きれいに見えても、皮膚の内部では炎症の“火種”がくすぶっている」
という事実が分かっています。
(これを専門的には「亜臨床的炎症」と言います)

もともと、アトピーのお子さんの肌は、遺伝的に皮膚のバリア機能が弱い傾向にあります。
健康な肌が、レンガとセメントで隙間なく守られた「頑丈な壁」だとすれば、
アトピーの肌は、ところどころセメントが剥がれた「もろい壁」のような状態。

そのため、健康な肌なら跳ね返せるような、
汗、ホコリ、ダニ、乾燥といった外部からの刺激が、
いとも簡単に壁の内側(皮膚の内部)に侵入してきてしまいます。

この侵入者が引き起こす小さなボヤ(炎症)が、常に肌の奥でくすぶっている“火種”の正体です。
リアクティブ療法では、見た目が良くなっても、奥に残る“火種”が手付かずのまま残ってしまうため、
「再発ループ」に陥ってしまうです。


再発ループを断ち切る新常識「プロアクティブ療法」

この“火種”の段階で対処し、そもそも「火事を起こさせない」ようにしよう。
それが、プロアクティブ療法の基本的な考え方です。
考え方が、リアクティブ療法とは全く異なります。

STEP 1 :寛解導入 〜まずは徹底的に、完全に火事を消しきる〜

プロアクティブ療法を始める前の、最も重要な準備段階です。
今ある炎症(火事)をステロイドなどでしっかりと鎮火させ、
専門医が「もう炎症はどこにもない」と判断できるツルツルの状態(寛解)を目指します。

【重要ポイント】
ここで大切なのは、「中途半端にやめない」こと。
少し良くなったからと自己判断でお薬をやめてしまうと、
必ず“火種”が残り、すぐに再燃してしまいます。
焦らず、医師がOKを出すまでしっかり治療することが、
楽な維持期につながる一番の近道です。

STEP 2 :寛解維持 〜“お守り”としての週2回のケア〜

肌がツルツルになった後、ここからがプロアクティブ療法の本番です。
毎日の保湿ケアで肌のバリア機能を守ることは続けながら、
以前に湿疹を繰り返していた部分(火事が起きやすかった場所)にだけ、
ステロイドはやめることなく、定期的にお薬を塗ります。

当院に受診していただき、評価し必要なステロイド量をお伝えしますので
その適正量を塗っていただくことで治療を継続します。
適正量の判断に関しては長い経験・知識が必要です。私達は毎回全身の皮膚を視診、触診で
診察を行い必要なステロイド(その他の非ステロイド性の抗炎症薬)をお伝えします。
最初はなれないことので少し定期的に塗ることが大変に感じる方もいらっしゃいますが
生活の一部に組み込んでしまうのが継続のコツです。

この週1-2回のステロイドケアが、くすぶり続ける“火種”を常にコントロールし、
大きな火事への発展を未然に防いでくれる、大切なお守りの役割を果たします。


衝撃のデータ!プロアクティブ療法の実力

プロアクティブ療法の有効性は、感情論ではなく、
世界中の何千人もの患者さんの協力によって行われた、
信頼性の高い「ランダム化比較試験」という、最も質の高い研究で証明されています。

メリット① 驚くほど「再発しなくなる」

これまでの治療とプロアクティブ療法で、どれだけ再発率に差が出るのか。
非常に有名な研究データがあります。

世界中の2歳から15歳のお子さんを対象にした大規模な研究で、
1年間プロアクティブ療法を続けたグループと、従来通りのグループを比較しました。

【研究結果のポイント】
従来治療 → 1年で約7割が再発
プロアクティブ療法 → 再発は約3割のみ

さらに、プロアクティブ療法を行ったお子さんの半分以上(50.4%)が、
1年間まったく再発せずに穏やかに過ごせた
のです。

これは、アトピー治療が「悪化したら仕方ない」という運任せの状態から、
「再発は、予測し、防ぐことができる」という、
私たちが主体的にコントロールできる病気に変わった、という大きな変化を意味します。

メリット② お子さんとご家族の「生活」そのものを取り戻す

再発が減ることで、変わるのは肌の状態だけではありません。
お子さんとご家族の「生活の質(Quality of Life)」が劇的に向上します。

▼かゆみと睡眠、そしてお子さんの発達への影響
かゆみによる睡眠不足は、単に「眠い」だけの問題ではありません。
子どもの成長に不可欠な成長ホルモンは、深い睡眠中に最も多く分泌されます。
夜中に何度も起きることは、健やかな身体の成長を妨げる可能性があるのです。
プロアクティブ療法によってかゆみから解放されることは、
お子さんの大切な発達の機会を守ることにも繋がります。

▼ご家族の心の健康を守る
「掻いちゃダメ!」と一日中子どもを叱ってしまう自己嫌悪。
先の見えない治療に対する、夫婦間の意見の対立やストレス。
プロアクティブ療法は、こうしたご家族の精神的な負担をも軽くします。

メリット③ 【意外な事実】長い目で見ると「薬の総量が減る」

「症状がない日も塗るなんて、薬の使用量が増えるのでは?」
これは、保護者の方が最も心配される点の一つです。

【知ってほしい事実】
ある研究では、再発のたびに大量の薬を使う従来グループよりも、
週2回プロアクティブ療法を続けたグループの方が、
1年間で使ったステロイドの総量が約40%も少なかった
、というデータがあります。

再発という大きな火事を消すには、大量の水(薬)が必要です。
しかし、火種のうちに消すのであれば、コップ一杯の水で十分です。
プロアクティブ療法は、お薬を賢く、そして少量使うことで、
結果的にお薬への依存度を減らしていくための、きわめて合理的な治療法なのです。


よくある疑問と不安に、専門医がしっかりお答えします

Q1. 副作用は本当に大丈夫?

A. はい。長期的な安全性も確認されている、世界標準の治療法です。
プロアクティブ療法で用いる「週2回塗布」は、効果と安全性のバランスを緻密に計算して設計された用法です。お薬を塗らない「休薬日」を設けることで、皮膚への負担を最小限に抑えます。数多くの臨床試験でその高い安全性が確認されており、日本の『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』でも強く推奨されている、確立された治療法ですのでご安心ください。

※過去のブログでも説明していますので良ければよんでみてください。

Q2. 結局、ずっと薬を使い続けることになりますか?

A. お子さんの肌が成長し、丈夫になるまでのお守りのような治療です。
小児のアトピー性皮膚炎は、成長とともに皮膚のバリア機能が成熟し、自然と軽快していくことが多い疾患です。プロアクティブ療法は、肌が丈夫になるまでの期間、再発に悩まされることなく穏やかに過ごすための「お守り」のような役割を果たします。安定した状態が続けば、医師と相談の上で中止することも夢ではありません。

Q3. 薬を塗るのを嫌がるときは、どうすればいいですか?

A. 治療を「楽しい時間」に変える工夫を一緒に考えましょう。
特に小さなお子さんは、ベタベタするのを嫌がることがあります。まずは、無理強いしないことが大切です。お風呂上がりの保湿の流れで、塗り薬の時間を楽しいスキンシップの時間に変える工夫が有効です。当院では、塗り心地の良いお薬なども含め、お子さんが受け入れやすい方法を一緒に探すお手伝いをします。


当院が大切にしていること 〜ゴールまで一緒に伴走します〜

プロアクティブ療法の成功の鍵は、
ご家庭での日々のケアと、私たち専門医による適切なナビゲートの両輪です。

当院では、ただお薬を処方して終わり、には絶対にしません。

  • お子さん一人ひとりの肌に合わせた、オーダーメイドの治療計画書をお作りします。
  • 「なぜこの薬が必要か」「いつまで続けるのか」をご家族が納得できるまで、丁寧に説明します。
  • 診察室では、「こんなこと聞いてもいいのかな?」という些細な疑問や不安も、安心して話せる雰囲気作りを心がけています。
  • 治療のゴールを共有し、くじけそうになった時も、また前を向けるように、ご家族の気持ちに寄り添いながら、最後まで一緒に伴走します

長引くアトピー性皮膚炎の治療は、新たな治療薬が増え、ステロイドの依存度も以前と
比較すると明らかに低下してきています。それでも最初の大事な治療はステロイドです。
治療は明らかに進歩し、再発は防げる時代になりました。

もし、この記事を読んで
「うちの子の治療も、一度見直してみたい」
「専門家と一緒に、本気で治していきたい」
そう感じていただけたなら、ぜひ一度、当院にご相談ください。

私たち専門家が、お子さんの健やかな肌と、ご家族の笑顔あふれる毎日を取り戻すため、
全力でサポートさせていただきます。
練馬方面からもお車で15分程度でアクセス可能です。駐車場も完備しておりますので、お車でも安心してご来院いただけます。

予約はこちらから
https://c.inet489.jp/osd2030/yoyaku/login.cgi?recno=&birth=

長田こどもクリニック
杉並区南荻窪1-31-14
営業時間:平日毎日よる8時まで、土曜日は13時まで
電話番号:03-3334-2030
https://www.osadaclinic.com/

悩みのループは、今日で終わりにしましょう。
その一歩を、心からお待ちしています。

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