【ニキビは当院か皮膚科へ】思春期の肌悩み、小児皮膚科で解決!原因と種類を徹底解説|杉並区・荻窪
インターネットで医療情報を検索する中で、多くの情報が個人の経験談であったり、医学的根拠が不明瞭であったりして、「どれが本当に信頼できる情報なのか分かりにくい」と感じたことはありませんか?私たち杉並区荻窪の長田こどもクリニックは、そうした保護者の皆さまの不安に応えるため、明確なエビデンス(科学的根拠)に基づいたブログ作成を心がけています。この記事も、世界中の医師が信頼を寄せる最新の医学論文の情報を基に、他の医療者から見ても妥当だと思っていただけるレベルで、「ニキビ(尋常性ざ瘡)」について徹底解説します。
こんにちは。荻窪にある長田こどもクリニックの副院長です。
思春期のシンボルとも言われる「ニキビ」。多くのお子さんが経験する自然な過程ですが、見た目の問題から学校生活に影響が出たり、自信をなくしてしまったりと、その悩みは決して小さなものではありません。「いつか治るから」と放置していると、跡に残ってしまうこともあります。当院では18歳以下のニキビ治療外来を行っております。
「ニキビで病院なんて大げさかな?」と思われるかもしれませんが、ニキビは**「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という皮膚の病気**です。正しい知識を持って、適切な時期に専門家へ相談することが、きれいな肌への一番の近道です。この記事では、【原因・症状・診断編】として、ニキビの正体と、なぜ専門的なケアが必要なのかを詳しく解説していきます。
目次
ニキビの正体:毛穴で何が起きている?
ニキビは、医学的には「尋常性ざ瘡」と呼ばれる、**毛穴(毛包)と、そこにつながる皮脂腺の慢性的な炎症性の病気**です。その発生には、主に4つの要因が複雑に関わっています[1]。
- 毛穴の詰まり(異常角化):通常、毛穴の皮膚は新陳代謝で自然に剥がれ落ちます。しかし、何らかの原因でこのプロセスがうまくいかず、古い角質が毛穴の出口を塞いでしまいます。
- 皮脂の過剰分泌:思春期になると、アンドロゲンという性ホルモンの影響で皮脂腺が活発になり、皮脂の分泌量が急増します。出口を塞がれた毛穴の中に、この皮脂がどんどん溜まっていきます。
- アクネ菌の増殖:アクネ菌(C. acnes)は誰もが持つ常在菌ですが、皮脂を栄養源とし、酸素が少ない環境を好みます。皮脂が溜まって詰まった毛穴の中は、アクネ菌にとって絶好の繁殖場所となります。
- 炎症反応:増殖したアクネ菌が作り出す様々な物質が、体の免疫反応を引き起こし、毛穴の周りで「炎症」が起こります。これが、ニキビが赤く腫れたり、膿を持ったりする原因です。
この4つのステップが、ニキビ発生の基本的なメカニズムです。特に、おでこ・鼻・あごのニキビは、このメカニズムが顕著に現れる場所です。詳しい原因や部位ごとの対策については、こちらの記事もご覧ください。
→ 【医師監修】おでこ・鼻・顎!中学生のニキビの原因と治し方
ニキビの種類:あなたのニキビはどのタイプ?
ニキビは、進行度によって見た目が変わります。自分のニキビがどの段階かを知ることは、適切なケアの第一歩です。
炎症のないニキビ(コメド・面皰)
ニキビの初期段階で、「コメド(面皰)」と呼ばれます。毛穴に皮脂や角質が詰まった状態です。
- 白ニキビ(閉鎖面皰):毛穴の出口が閉じたまま皮脂が溜まっている状態。ポツっとした白い点に見えます。
- 黒ニキビ(開放面皰):毛穴が開き、溜まった皮脂が空気に触れて酸化し、黒く見えている状態。汚れが溜まっているわけではありません。
炎症を起こしたニキビ
コメドの中でアクネ菌が増殖し、炎症が起こった状態です。ここから跡に残るリスクが高まります。
- 赤ニキビ(紅色丘疹):炎症によって赤く盛り上がった状態。触ると少し痛みを感じることがあります。
- 黄ニキビ(膿疱):炎症がさらに進み、膿が溜まって黄色く見える状態。無理に潰すとニキビ跡の原因になります。
- しこりニキビ(結節・嚢腫):炎症が毛穴の壁を破壊し、皮膚の深い部分にまで及んだ重症の状態。治った後もクレーターのような跡(瘢痕)を残しやすいです。
ニキビを悪化させる要因は?食事やストレスとの関係
「チョコレートを食べるとニキビができる」といった話をよく聞きますが、医学的にはどうなのでしょうか?
特定の食べ物一つが直接ニキビの原因になるというよりは、**食生活全体のバランス**が影響すると考えられています。いくつかの研究では、以下の食事がニキビと関連する可能性が示唆されています[2]。
- 高GI食(高糖質食):血糖値を急激に上げるお菓子や白米、パンなどは、インスリン様成長因子(IGF-1)の分泌を促し、皮脂の分泌を活発にする可能性があります。
- 乳製品:牛乳に含まれる成分が、皮脂腺を刺激するという報告もあります。[3]
ただし、これらの関連はまだ研究途上であり、個人差も大きいです。過度に食事制限をする必要はありませんが、バランスの取れた食事を心がけることは、肌の健康にとっても大切です。
その他、睡眠不足やストレスはホルモンバランスを乱し、ニキビを悪化させることが知られています。また、肌への物理的な刺激(髪の毛の接触、頬杖、マスクの摩擦など)や、間違ったスキンケア(ゴシゴシ洗い、保湿不足)も悪化の要因となります。
なぜ病院へ?小児科皮膚科を受診するメリット
市販薬もたくさんありますが、ニキビで専門医を受診することには、それを上回る大きなメリットがあります。
- 正確な診断:ニキビのように見えて、実は他の皮膚疾患(酒さ、毛包炎など)である可能性もあります。正しい診断が、正しい治療の第一歩です。
- 保険適用の処方薬:市販薬とは作用機序が異なる、効果の高い様々な治療薬(外用薬・内服薬)を保険診療で受けることができます。
- ニキビ跡の予防:炎症が強くなる前に適切な治療を始めることで、最も厄介な「ニキビ跡」が残るリスクを大幅に減らすことができます。
- 個々に合った治療計画:ニキビの種類、重症度、肌質、生活習慣などを総合的に判断し、一人ひとりに最適な治療プランを提案してもらえます。
自己流のケアで悪化させたり、跡が残ってしまったりする前に、ぜひ一度専門家にご相談ください。
【小児科医の視点】思春期のニキビこそ、小児皮膚科に強い当院へ
「ニキビは皮膚科」が一般的ですが、私たちは**「思春期のお子さんのニキビこそ、当院で診る意義も大きい」**と考えています。小児科医はお子さんの成長と発達をトータルで診る専門家だからです。
思春期のニキビは、ホルモンバランスが大きく変化する第二次性徴の過程で現れる、ごく自然な生理現象の一部です。私たちは、皮膚の症状だけを診るのではなく、お子さんの成長過程全体を理解した上で、心と体・生活背景などからアプローチします。
当院は小児科クリニックですが、院長・副院長はともに多くの皮膚疾患をこれまで診療してまいりました。小児科専門医でありながら、アトピー性皮膚炎をはじめとするお子さまの皮膚疾患の診療経験が豊富です。
- お子さまの気持ちへの配慮:治療への不安やコンプレックスなど、思春期特有のデリケートな心に寄り添います。
- 生活全体へのアドバイス:スキンケアや食事、睡眠など、ご家庭でできることを具体的にお伝えします。
- 継続しやすい治療の提案:学校生活などで忙しいお子さまでも、無理なく続けられる治療法を一緒に考えます。
次回予告:ニキビ治療編
今回はニキビの原因と種類、そして専門医に相談する大切さについて解説しました。しかし、一番知りたいのは「じゃあ、どうやって治すの?」ということですよね。
次回のブログでは、**【治療編】**として、当院で行っている具体的なニキビ治療について詳しく解説します。保険適用の塗り薬や飲み薬、スキンケアのポイントなど、明日から実践できる情報が満載です。ぜひご覧ください。
当院では、お子さま一人ひとりの肌の状態とライフスタイルに合わせた、最適なニキビ治療をご提案しています。
→ 長田こどもクリニックのニキビ治療外来について
参考文献
- O'Neill AM, Gallo RL. Host-microbiome interactions and recent progress into understanding the biology of acne vulgaris. Microbiome. 2018; 6: 177. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30286858/
- Spencer EH, Ferdowsian HR, Barnard ND. Diet and acne: a review of the evidence. Int J Dermatol. 2009; 48(4): 339-47. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19298188/
- Adebamowo CA, Spiegelman D, Berkey CS.Milk consumption and acne in adolescent girls. Dermatol Online J. 2006;12(4):1. Epub 2006 May 30. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17083856/
長田こどもクリニック
杉並区荻窪の小児科・アレルギー科

