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【ニキビ治療編】皮膚科の薬は?小児科皮膚疾患担当医が保険診療を徹底解説|杉並区・荻窪|練馬区から車で

 

 

【ニキビ治療編】皮膚科の薬は?小児皮膚科医が保険診療を徹底解説|杉並区・荻窪

この記事のポイント

前回の【原因・症状・診断編】では、ニキビがなぜできるのか、そしてなぜ専門医への相談が重要なのかを解説しました。今回はその続編として、皮膚科や小児科で行われる具体的な「ニキビ治療」に焦点を当てます。最新のガイドラインに基づき、保険診療で使えるお薬の種類や効果、治療の進め方まで、保護者の方とお子さん自身に分かりやすくお伝えします。

こんにちは。荻窪にある長田こどもクリニックの副院長です。

ニキビ治療と聞くと、「薬が強いのでは?」「ずっと続けないといけないの?」といった不安を感じる方も多いかもしれません。しかし、現在のニキビ治療は大きく進歩しており、科学的根拠に基づいた安全で効果的な選択肢がたくさんあります。

この記事を読めば、皮膚科や当院のような小児皮膚科に強いクリニックで、どのような治療が行われるのかが具体的に分かります。正しい知識を身につけ、ニキビ跡のないきれいな肌を目指しましょう。

ニキビ治療のゴールと基本方針

ニキビ治療のゴールは、単に今あるニキビを治すだけではありません。

  • 新しいニキビができるのを防ぐこと
  • ニキビ跡(瘢痕や色素沈着)を残さないこと
  • きれいな肌の状態を維持すること

この3つを達成するため、ニキビの原因となる4つの要因(①毛穴の詰まり、②皮脂の増加、③アクネ菌の増殖、④炎症)に、お薬を使ってアプローチしていきます[1]。治療は、ニキビの種類と重症度に合わせて、塗り薬を基本に、必要に応じて飲み薬を組み合わせて行います。

【塗り薬】ニキビ治療の主役たち

現在のニキビ治療の中心は「塗り薬(外用薬)」です。それぞれ異なる作用を持つ薬を組み合わせることで、高い効果が期待できます。

① 毛穴の詰まりを改善する薬(面皰治療薬)

ニキビの始まりである「コメド(白ニキビ・黒ニキビ)」に作用し、毛穴の詰まりを解消する、ニキビ治療の基本となる最も重要な薬です。

  • アダパレン(ディフェリンゲル®︎):レチノイド(ビタミンA誘導体)様作用薬。毛穴の角化を正常化し、ニキビができにくい肌質へと導きます。使い始めに乾燥やヒリヒリ感が出ることがありますが、保湿をしっかり行うことで徐々に慣れていきます。
  • 過酸化ベンゾイル(BPO - ベピオ®︎、デュアック®︎など):毛穴の詰まりを改善する作用と、アクネ菌に対する強い殺菌作用を併せ持ちます。抗生物質ではないため、耐性菌の心配がないのが大きな特徴です。

② アクネ菌を退治し、炎症を抑える薬

赤ニキビや黄ニキビなど、炎症を起こしたニキビに対して使います。

  • 外用抗菌薬(クリンダマイシン、ナジフロキサシンなど):アクネ菌を殺菌し、炎症を鎮めます。ダラシン®︎Tゲルやアクアチム®︎などがあります。
【重要】抗菌薬の単独使用はNG!

抗菌薬だけを長期間使い続けると、薬が効かない「耐性菌」を増やしてしまうリスクがあります。そのため、世界の標準治療では、抗菌薬を使用する場合は必ず過酸化ベンゾイル(BPO)を併用することが強く推奨されています[2]。BPOが耐性菌の出現を防いでくれるからです。

③ 複数の成分が入った配合剤

近年、①と②の成分を組み合わせた「配合剤」が登場し、治療の第一選択肢となっています。1日1回の塗布で済むため、お子さまでも治療を続けやすいのがメリットです。

  • デュアック®︎配合ゲル:クリンダマイシン(抗菌薬)+ BPO
  • ベピオ®︎ローション/ゲル:BPO単剤
  • エピデュオ®︎ゲル:アダパレン + BPO

【飲み薬】炎症が強いニキビの助け舟

塗り薬だけではコントロールが難しい、炎症の強いニキビ(赤ニキビや黄ニキビ)が多数ある場合には、「飲み薬(内服薬)」を併用します。

  • 内服抗菌薬(ミノサイクリン、ドキシサイクリン、ロキシスロマイシンなど):アクネ菌に対する抗菌作用と、強力な抗炎症作用で、ニキビの炎症を内側から抑えます。

ただし、飲み薬の抗菌薬も長期間の使用は耐性菌のリスクがあるため、炎症が落ち着いたら速やかに中止し、塗り薬による治療に切り替えていくのが原則です。通常、3か月以内を目安に使用します。

治療はいつまで?「維持療法」の重要性

薬を使ってニキビがきれいになると、「もう治った!」と思って自己判断で薬をやめてしまうお子さんが少なくありません。しかし、それは大きな間違いです。

ニキビ治療は、今あるニキビを治す「寛解導入療法」と、きれいな状態を保つ「維持療法」の2段階で考えます。症状が改善した後も、目に見えないニキビの”芽”(微小面皰)はでき続けています。ここで治療をやめてしまうと、すぐに再発してしまいます。

そのため、赤みや膿が引いた後も、毛穴の詰まりを改善する薬(アダパレンや過酸化ベンゾイル)を継続して塗り続ける「維持療法」が非常に重要です[3]。この維持療法を根気よく続けることが、ニキビの再発を防ぎ、ニキビのできにくい肌を育てる鍵となります。

ニキビ治療 Q&Aコーナー

Q1. 薬はいつまで続ければいいですか?

A1. ニキビができやすい体質は、ホルモンバランスが安定する20代前半頃まで続くことが一般的です。そのため、症状が落ち着いた後も、維持療法として塗り薬を数年単位で続けることが理想です。医師と相談しながら、少しずつ薬の頻度を減らしていくことも可能です。

Q2. 副作用が心配です。

A2. 特にアダパレンや過酸化ベンゾイルは、使い始めに赤み、乾燥、ヒリヒリ感などの刺激症状が出ることがあります。これは薬が効いている証拠でもあり、多くは1〜2週間で慣れてきます。保湿剤をしっかり使う、少量から始める、1日おきに塗るなど、使い方を工夫することで乗り越えられます。当院では、副作用を最小限に抑えるための塗り方の指導も丁寧に行います。

Q3. 薬を使ってもなかなか良くなりません。

A3. 効果を実感するには、少なくとも2〜3か月はかかります。焦らずに続けることが大切です。それでも改善しない場合は、薬の塗り方が適切でない、薬の種類が合っていない、あるいは他の要因が隠れている可能性も考えられます。自己判断で諦めず、必ず医師に相談してください。治療法の見直しを行います。

長田こどもクリニックのニキビ治療:一人ひとりに寄り添う選択を

ニキビ治療は、根気と継続が何よりも大切です。特に思春期のお子さんにとっては、毎日のスキンケアや薬の塗布を続けるのは、時に面倒に感じられるかもしれません。

私たち長田こどもクリニックは、小児科専門医として、お子さんの皮膚だけでなく、その背景にある生活習慣や心の状態にも目を向けます。日常生活・食生活、部活動、勉強のストレスなど、お子さんのライフスタイルを丁寧にお伺いした上で、「これなら続けられそう」と思っていただける、一人ひとりに最適な治療プランを一緒に考えていきます。

お忙しい保護者の皆さまへ:当院の診療体制

お仕事やご兄弟の送迎などで、日中の受診が難しい保護者の皆さまにも安心してご利用いただけるよう、当院は柔軟な診療体制を整えています。

  • 平日(月〜金)は、夜20時まで診療
  • 土曜日も、13時まで診療
  • クリニック前に、無料の専用駐車場を6台完備

思春期のデリケートな肌の悩み、そして保護者の皆さまの不安に、いつでも寄り添います。「ニキビくらいで…」とためらわずに、どうぞお気軽にご相談ください。

当院のニキビ治療外来について、詳しくはこちらのページもご覧ください。
長田こどもクリニックのニキビ治療外来について

参考文献

  1. 1)Zaenglein AL, Pathy AL, Schlosser BJ, et al. Guidelines of care for the management of acne vulgaris. J Am Acad Dermatol. 2016; 74(5): 945-73.e33. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26897386/
  2. 2)Thiboutot DM, Weiss J, Bucko A, et al. Adapalene-benzoyl peroxide, a fixed-dose combination for the treatment of acne vulgaris: results of a multicenter, randomized double-blind, controlled study. J Am Acad Dermatol. 2007; 57(5): 791-9. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17658582/
  3. 3)Thiboutot DM, Shalita AR, Yamauchi PS, et al. Adapalene gel, 0.1%, as maintenance therapy for acne vulgaris: a randomized, controlled, investigator-blind follow-up of a recent combination study. Arch Dermatol. 2006; 142(5): 597-602. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16702497/

長田こどもクリニック
杉並区荻窪の小児科・アレルギー科

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