GINAガイドライン2024年版準拠|小児科医が詳しく解説!喘息増悪(発作)のサイン・救急治療・家庭での再発予防ポイント|お子様の喘息とアレルギー治療
こんにちは! 杉並区南荻窪の長田こどもクリニックです。
今回は、大切なお子さんの「喘息(ぜんそく)」が悪化してしまった際の「増悪(ぞうあく)」、いわゆる「喘息発作(ぜんそくほっさ)」が起きた場合の対応について、国際的な喘息治療の指針であるGINAガイドライン2024年版を基に、ご家庭や医療機関での重要なポイントを分かりやすく解説します。 杉並区や南荻窪エリアで、お子さんの喘息やアレルギーにご不安をお持ちの保護者の方は、ぜひご一読ください。
お子さんの喘息発作、こんな時は要注意!見逃せない緊急時のサイン
お子さんの喘息の増悪(発作)は、咳やゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)、息苦しさが普段よりも強くなる状態です。 早めの対処が何よりも大切です。次のような喘息の症状に気づいたら、特に注意して見てあげてください。
- 普段より咳や喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)がひどい
- 息が苦しそう、肩で息をしている(これは呼吸困難のサインかもしれません)
- 顔色が悪く見える、唇が青白い
- 話すのがつらそう、言葉が途切れ途切れになる
- 元気がなく、ぐったりとしている
- いつもの発作治療薬(気管支拡張薬のリリーバー)を使っても、なかなか良くならない、または効果が持続しない
《特に危険なサイン!ためらわずに医療機関へ》
以下のような場合は、喘息の緊急時のサインであり、迅速な対応が必要です。ためらわずに速やかに医療機関を受診してください。
- 意識がもうろうとしている、ぐったりしている
- 呼吸が止まりそうなくらい苦しそう
- 唇や顔色、爪が紫色や青白い(チアノーゼの可能性があります)
- ゼーゼー・ヒューヒューという音が逆に聞こえなくなる(「サイレントチェスト」と呼ばれ、非常に危険なサインです!)
救急外来など医療機関での対応|GINAガイドラインに基づく喘息治療
医療機関では、まずお子さんの状態を正確に把握し、速やかに喘息治療を開始します。
1. 状態の確認:
- いつから、どんなきっかけで症状が悪化したか(風邪、アレルゲンへの接触など)
- 普段の喘息治療の状況(お薬の種類、吸入方法、きちんと使えているかなどのアドヒアランス)
- 過去の大きな喘息発作の経験の有無
- 呼吸の様子、脈拍、顔色、意識の状態などを詳しく観察します。
2. 客観的な評価:
- 酸素飽和度測定:指先につける機械(パルスオキシメーター)で血液中の酸素の量を測ります。お子さんの場合、通常94%以上が目安です。これより低い場合は注意が必要です。(※皮膚の色が濃いお子さんの場合、酸素飽和度が実際より高く表示されることがある点に留意します。)
- ピークフロー測定・スパイロメトリー検査:可能な年齢のお子さんであれば、呼吸機能の検査を行い、気管支の狭まり具合を客観的に評価します。
3. 主な治療:
- 酸素投与:息苦しさを和らげるために、必要に応じて酸素を吸入します。
- 短時間作用性β2刺激薬(SABA)の吸入:気管支を広げるお薬(気管支拡張薬のリリーバー)を、吸入器とスペーサー(吸入補助具)を使って吸入します。症状に応じて繰り返し使用することがあります。
- 全身性ステロイド薬(経口または点滴):気道の炎症を強力に抑えるお薬です。効果が現れるまでには少し時間がかかりますが、発作の鎮静化と再発予防(喘息予防)に非常に重要な治療です。お子さんの年齢や体重に合わせて、通常3~5日間ほど使用します。
- その他の薬剤:重症度に応じて、抗コリン薬の吸入などを追加することがあります。
《大切なお知らせ:GINAガイドラインにおける治療戦略》
近年、GINAガイドラインでは、ICS(吸入ステロイド薬)とホルモテロールという気管支拡張薬の配合剤(例:フルティフォームなど)を、発作の治療(リリーバー)にも普段の長期管理(コントローラー)にも使用する治療法(SMART療法またはMART療法と呼ばれます)が推奨されています。 これは、発作の初期から炎症を抑える効果が期待でき、重症化を防ぐと考えられているためです。 これまで日本では急性増悪時はβ刺激薬で対応し、ステロイド吸入の導入は発作予防として使用されてきましたが、当院ではこの理論から急性増悪時(発作時)にも吸入ステロイド(パルミコート)とβ刺激薬の併用を行っています。
退院・帰宅後のフォローアップと再発予防|長田こどもクリニック(杉並区南荻窪)がお手伝いします
喘息発作の症状が落ち着いて退院・帰宅した後も、油断は禁物です。喘息の再発予防のために、以下の点が重要になります。
- 処方されたお薬の継続:医師の指示通り、吸入ステロイド薬・ロイコトリエン拮抗薬などのコントローラー(長期管理薬)をきちんと続けましょう。「症状がないから」と自己判断で中断しないことが、長期的な喘息コントロールと予防には非常に大切です。
- 発作治療薬(リリーバー)の適切な使用:発作が起きた時だけ使用し、常用しないようにしましょう。使いすぎはコントロール不良のサインかもしれません。
- 吸入指導の再確認:正しい吸入方法を再度確認し、お薬が確実に気管支に届くようにしましょう。長田こどもクリニック(杉並区南荻窪)では、吸入指導にも力を入れており、分かりやすく丁寧にご説明します。
- 喘息アクションプランの確認・見直し:症状が悪化した場合の具体的な対応策を記載した「喘息アクションプラン」を医師と一緒に確認し、必要に応じて更新しましょう。いざという時に慌てず対処できるようになります。
- 定期的な受診:症状が落ち着いていても、定期的に受診し、喘息の状態を医師と一緒に把握していくことが大切です。発作の原因となった可能性のある要因(風邪やインフルエンザなどの感染症、特定のアレルゲンへの接触、気候の変化など)についても話し合い、今後の対策を一緒に考えましょう。
お子さんの喘息は、日頃からの適切な管理と、いざという時の迅速な対処法を知っておくことが、健やかな成長のための鍵となります。 長田こどもクリニック(杉並区南荻窪)では、お子さん一人ひとりの状態に合わせたきめ細やかな喘息治療・予防計画のご提案と、ご家族への丁寧な説明を心がけております。 お子さんの喘息、アレルギー、呼吸困難、咳が続くといった症状に関するご心配事がありましたら、どうぞお気軽に当クリニックの小児科医にご相談ください。
長田こどもクリニックからのお知らせ
【当院の診療について】 お子さんの予防接種でお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。
住所: 杉並区南荻窪1-31-14 TEL: 03-3334-2030
参考文献:
2024 GINA Main Report