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専門医が解説:小児アトピー性皮膚炎の自宅ケアとアトピー専門外来での治療【杉並区 長田こどもクリニック】

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専門医が解説:小児アトピー性皮膚炎の自宅ケアとアトピー専門外来での治療

当院のブログが目指すこと

アトピー性皮膚炎は、適切なスキンケアと治療によって、症状をコントロールし、良い状態を保つことができる病気です。このブログでは、ガイドラインに基づいたご家庭でのケアや、杉並区・荻窪の長田こどもクリニックでの治療方針を分かりやすくご説明します。
「いつまで薬を塗ればいいの?」「跡に残らない?」といった保護者の方の不安にもお答えします。

年齢で変わる?子どものアトピーの特徴

アトピー性皮膚炎は年齢によって湿疹が出やすい場所や特徴が変わります。「ただの乾燥肌かな?」と思っても、以下の特徴的な場所に湿疹がある場合は早めの受診が大切です。

  • 乳児期(0〜2歳頃): 頭や顔、耳の付け根から始まり、徐々に体や手足に広がります。ジクジクした湿疹が多いのが特徴です。
  • 幼児期(2〜12歳頃): 首、肘の内側、膝の裏など「関節」に症状が集中します。全体的に乾燥してカサカサした肌(ドライスキン)が目立ち始めます。
  • 思春期以降: 顔や首、上半身に症状が残りやすく、赤ら顔や皮膚が厚くなる(苔癬化)症状が見られます。

ご家庭でできる!毎日のスキンケア(基本中の基本)

アトピー性皮膚炎の治療の柱は、「スキンケア」「薬物療法」「悪化因子の除去」の3つです。中でも、ご家庭で毎日行えるスキンケアは、症状を安定させ、再燃を防ぐために最も重要と言っても過言ではありません。

1. 入浴・洗浄:皮膚を清潔に保つコツ

皮膚を清潔に保つことは、皮膚の上の汚れや汗、黄色ブドウ球菌などの原因物質を洗い流し、皮膚への負担を減らすために大切です。

  • 毎日お風呂に入りましょう: 汚れや汗をその日のうちに洗い流すことが基本です。
  • お湯の温度はぬるめに: 熱すぎるお湯(40℃以上)は、皮膚のバリア機能を低下させ、かゆみを増強させることがあります。38~39℃くらいのぬるめのお湯にしましょう。
  • 石鹸は「よく泡立てて」優しく: 低刺激性の石鹸を選び、手のひらや泡立てネットで十分に泡立ててから使いましょう。
  • 泡で「なでるように」洗う: ゴシゴシ擦る必要はありません。泡を肌に乗せ、手のひらで優しくなでるように洗います。ナイロンタオルなどで擦るのは厳禁です。
  • 上がったら「すぐに」保湿: タオルで水分を優しく押さえるように拭いたら、保湿剤を塗りましょう。風呂直後に塗るとよいというデータはありませんが、日課とするにはちょうど良いタイミングだと思います。

2. 保湿:乾燥はアトピーの最大の敵

アトピー性皮膚炎のお子さまの肌は、バリア機能が低下し、水分が逃げやすい状態です。

  • 1日複数回、欠かさず塗る: 夜の入浴後はもちろん、着替えるときなど、こまめに塗りましょう。
  • 「擦り込まずに」優しくのせるように塗る: 皮膚のシワに沿って、優しく伸ばすように塗りましょう。
  • 「たっぷり」塗る: ケチらず、皮膚がテカテカするくらいの量(ティッシュが張り付く程度)を塗るのが目安です。

日常生活での注意点:悪化因子を取り除く

スキンケアに加えて、皮膚への刺激となる「悪化因子」を日常生活から取り除くことも大切です。

家庭でできる環境対策
  • 汗対策: 汗は皮膚の刺激になり、かゆみを増強させます。汗をかいたら、シャワーで洗い流しましょう。タオルでゴシゴシ拭くことは避けましょう。
  • 衣類選び: 直接肌に触れる衣類は、木綿など肌触りの良い天然素材を選びましょう。
  • 爪は短く切る: かゆくても掻き壊して皮膚を傷つけないように、爪はいつも短く丸く切っておきましょう。
  • 食物アレルギーについて: 食物アレルギーが原因となることもありますが、自己判断での食事制限は栄養不足を招く危険があります。 必ず医師の診断のもとで行いましょう。

治療について:薬への不安を解消する

「ステロイドは怖い」というイメージをお持ちの保護者の方も多いですが、医師の指示に従い、適切なランク(強さ)の薬を、適切な期間・量(FTU)で使用すれば、非常に安全性の高いお薬です。
むしろ、怖がって少ししか塗らなかったり、自己判断でやめてしまうことで炎症が長引き、結果的に薬の使用量が増えてしまいます。

また、症状が落ち着いてきたら、良い状態を維持する治療(プロアクティブ療法)へ移行していきます。コレクチム®やモイゼルト®といった「ステロイドを含まない」新しい塗り薬を使って、ステロイド使用量を減らすことも可能です。

肌が黒くなるのは薬のせい?(色素沈着)

「薬を塗っていたら肌が黒くなった」と心配されることがありますが、これは薬の副作用ではなく、炎症が長く続いたことによる「炎症後色素沈着」です。早めに炎症を抑えることが、綺麗な肌を取り戻す近道です。

▶ アトピーと色素沈着について詳しくはこちら

小児アトピーについてよくある質問(Q&A)

顔のアトピーにステロイドを塗っても大丈夫ですか?
顔は皮膚が薄く吸収率が高いため注意が必要ですが、適切なランク(ミディアム以下など)の薬を使えば安全です。眼圧上昇などのリスクを避けるため、目の周りは特に慎重に塗布します。
▶ 顔のアトピー治療について詳しくはこちら
食物アレルギーが原因でしょうか?除去食は必要ですか?
アトピーの全ての原因が食事ではありません。むやみな除去は逆に食物アレルギー悪化のリスクとなることがあります。
▶ 食物アレルギーの検査について
ニキビのようなブツブツができてきました。
アトピー治療中のお子様(特に思春期やステロイド使用中)はニキビを併発しやすいですが、治療法が異なります。
▶ 子どものニキビ治療について

こんな時は当院にご相談ください

  • 毎日のスキンケアを頑張っているのに、湿疹やかゆみが良くならない。
  • かゆみがひどくて眠れない、日常生活に支障が出ている。
  • 湿疹から黄色い汁が出ている、とびひが疑われる場合。
  • 初めてアトピー性皮膚炎と言われた、診断に不安がある。

お子さんの皮膚の状態は日々変化します。少しでもご心配なことがあれば、どうぞお気軽に当院にご相談ください。

まとめ:二人三脚で目指す「かゆみのない肌」は当院のアトピー専門外来へ

アトピー性皮膚炎は、根気強いケアが必要な病気ですが、「ゴール(寛解)」は必ずあります。
長田こどもクリニックでは、お子さん一人ひとりの皮膚の状態や生活スタイルに合わせたスキンケアや治療法を、保護者の方としっかり相談しながら一緒に考えていきます。

お忙しい保護者の皆さまへ:当院の診療体制

アトピー性皮膚炎の治療は、定期的な通院が欠かせません。当院は、お仕事などで日中の受診が難しい保護者の皆さまにも安心して通院を続けていただける体制を整えています。

  • 平日(月〜金)は、夜20時まで診療
  • 土曜日も、13時まで診療
  • クリニック前に、無料の専用駐車場を6台完備

杉並区荻窪で、お子さまの肌の悩みに、いつでも寄り添います。

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参考文献

長田こどもクリニック
杉並区荻窪の小児科・アレルギー科

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