【杉並区南荻窪の小児科】お子様の水いぼ治療、痛くない選択肢とエビデンス｜長田こどもクリニック

event_note2025.05.06

「お子様の水いぼ、痛い治療はかわいそう…」そうお悩みの親御さんへ。杉並区南荻窪にある当院、長田こどもクリニックで取り扱いを始めた水いぼの新しい治療選択肢について、メリット・デメリット、そしてエビデンスの現状を正直にお伝えします。

お子様の皮膚にできる「水いぼ（伝染性軟属腫）」は、ウイルス感染症の一つです。通常、数ヶ月から長い場合は数年かけて自然に治ることが多い良性の病気ですが、その間に数が増えたり、他の人にうつしてしまったりすることもあります。

水いぼの一般的な治療法とその課題

現在、水いぼに対する治療法はいくつかありますが、大きく分けると以下の二つになります。

経過観察（自然治癒を待つ）:
- 痛みはありません。
- 最大のメリットは「待つだけ」という手軽さです。
- デメリットは、治るまでに時間がかかり、その間に数が増えたり、他の兄弟やお友達にうつしてしまう可能性があることです。
水いぼ用ピンセットなどによる摘除（除去）:
- 医療用のピンセットなどで水いぼを一つずつ取り除く方法です。
- 比較的早く確実に水いぼを減らすことができます。
- 最大のデメリットは、痛みを伴うことです。特に小さなお子様にとっては、押さえつけられたり、チクッとした痛みを感じたりすることが、大きな負担となり、治療自体がトラウマになってしまうことも少なくありません。

このように、水いぼの治療においては「痛くないけれど時間がかかる」か「痛いけれど比較的早い」というジレンマがあり、杉並区・荻窪の多くの親御さんも含め、「何とか痛がらせずに治してあげたい」と願っていらっしゃいます。

新しい治療選択肢としての「ｍ−BFクリーム」について

このような親御さんの強いニーズにお応えするため、当院長田こどもクリニックでも水いぼに対する新しい治療選択肢として、特定の成分を含むクリームの取り扱いを開始いたしました。

このクリームは、ご自宅で保護者の方が水いぼに塗布していただくタイプの治療法です。最大の利点は、痛みを伴わないことです。お子様に身体的・精神的な負担をかけずに治療ができる可能性がある点に、大きなメリットがあると考えております。

なぜこのクリームが水いぼに効く可能性が考えられるのか（理論的な話）

このクリームに含まれる銀の成分には、理論的に抗菌作用や抗ウイルス作用を持つ可能性が示唆されています。

水いぼはウイルスによる病気ですので、もしクリームの成分が水いぼの原因ウイルスに対して効果を発揮するのであれば、ウイルスの活動を抑え、病変の改善を促す可能性が考えられます。また、水いぼを掻き壊した部分から細菌による二次感染が起こることがありますが、成分の抗菌作用がこれを防ぎ、治癒を助ける可能性も理論的には考えられます。

ただし、これはあくまで理論的な可能性のお話です。

エビデンスについて正直にお伝えします

皆様に正直にお伝えしなければならない点として、このクリームによる水いぼ治療は、現時点では確立された高いレベルの科学的エビデンス（根拠）がある治療法ではありません。

「エビデンスが高い」とは、多数の患者さんを対象とした大規模な臨床試験（例えば、偽のクリームと比較する二重盲検比較試験など）で、その有効性や安全性が統計的に証明され、医学論文として広く認められている状態を指します。

残念ながら、このクリームに関しては、現時点ではそのような質の高い研究報告は十分にはありません。

もし、このクリームが水いぼに対して確実かつ高い効果を持ち、それが科学的に証明されていれば、すでに健康保険が適用される治療法として広く推奨されているはずです。現状、保険適用外の治療であるという事実も、このエビデンスレベルの状況を反映しています。

エビデンスが少ない中で、なぜ当院長田こどもクリニックで導入したのか？

エビデンスが十分でない治療法を安易に推奨することは、医療機関として適切ではありません。しかし、以下の理由から、当院ではこのクリームを**「治療の選択肢の一つ」**として提供することを決めました。

「痛くない治療」への強いニーズ: 上述のように、水いぼの一般的な治療（特に摘除）がお子様にとって大きな負担であるため、「痛くない方法で治したい」という親御さんのニーズが非常に多い現状があります。
確立された痛くない治療がない: 経過観察以外の、痛みを伴わない確実な治療法が他にないのが現状です。
臨床現場での手応え（体感）: 全ての患者様ではありませんが、実際にこのクリームを使用された方の中には、比較的早く水いぼの改善が見られた方もいらっしゃいます（これはあくまで個々の症例における「体感」であり、科学的なデータに基づいたものではありません）。
投与する価値がある可能性: 痛みを伴う標準治療や長期間の経過観察以外の選択肢として、お子様への負担が少なく、理論的な作用機序も考えられることから、試してみる価値のある治療法であると判断しました。