アトピー性皮膚炎

『アトピー性皮膚炎って何でしょう?』

アトピー性皮膚炎 漠然としていてよく分かりませんね。
ある病院では「乾燥性皮膚炎」と言われ、 他の病院では「アトピー性皮膚炎の一歩手前」と言われたり・・・


実は、「良くなったり悪くなったりを繰り返す強いかゆみを伴う湿疹で、アレ ルギー家系、または本人がアトピー体質であること。」


このような、約束事(定義)で診断することになっています。
 分かったような分からないような、実は、とてもいい加減な診断名なのです。




アトピー性皮膚炎とは

海外からご帰国の方は経験があるかもしれませんが、欧米の家庭医は「アトピー 性皮膚炎」という診断名を極力使わない傾向にあります。
ただ単純に 「eczema」(湿疹)と呼びます。
あまりアレルギーと関連付けた診断名を付けてしまうと、アレルゲン探しの無駄な旅が始まったり、アトピービジネスと呼ばれる罠にハマったり、正しい治療の道を踏み外さないように、敢えてアトピーと言う名前を避けているいるもかもしれません。

「乳児湿疹」と「アトピー性皮膚炎」、診断名は全く違いますが、それ 程、大きな違いも無いと思っていただいて良いと思います。


さて、この痒い炎症は、なぜ起こるのでしょう?


  1. 皮膚のバリアの不足

  2. アレルギー性の炎症
  3. 細菌、ウイルス、カビなど の感染症

この3つの原因で湿疹が起こっています。
人によって、あるいは、その時々によって、3つのバランスが変わるので治療が一筋縄には行かないこともありますが、主役はバリアの不足と考えられています。

アトピー性皮膚炎の治療方法

「特に何もしないで、スキンケアだけで頑張っているうちに、強い炎症に打ち勝って自前のバリアがドッっと出てきて、ウソみたいにキレイになりました!」
そんなラッキーな経過もありますが、あまり、分の良いギャンプルとは言えません。


アトピー性皮膚炎スキンケアだけで頑張っていたら、炎症が悪くなったせいで、さらにバリアが 壊れ、バリアがさらに壊れたせいで、さらにさらに炎症が強くなり・・・という悪循環
。
炎症が強いせいで、皮膚からアレルゲンが侵入して炎症が強くなり、引っ掻いた傷からばい菌が侵入して、さらに炎症が強くなる悪循環。

あるいは、炎症があるから痒い、痒いから引っ掻く、引っ掻くから炎症が強くなる悪循環。
そうして慢性の炎症を繰り返しているうちに、皮膚の内部構造まで壊れてしまうと、本当に治り難くなってしまいます。

その悪循環を断ち切るために使用するのが、噂に聞く厄介者、ステロイド剤です。

ステロイド剤の罠

ステロイド剤、イメージも悪く、何となく怖いですね。

でも、実際にはステロイド剤のホルモンとしての副作用で困っていらっしゃる方は、ほとんど居ません。ただ、誤った使い方のせいで、ステロイド剤から抜け出せなくなって大変な思いをされた方はいらっしゃいます。


ステロイド剤を使用している時に大事なこと・・・

  1. ステロイド剤を塗る日数が確実に減っている。
  2. ステロイド剤を塗らない日が確実に増えている。
  3. ステロイド剤を塗る面積が確実に減ってきている。

ステロイド剤を使っていく上で、先の展望が開けていることが大切です。

塗っている間はキレイだけど、やめると元の状態にもどってしまう・・・

。
いつまで塗り続けるのか不安・・・。

そのような使い方をしていると、知らないうちに、ステロイド依存から抜け出せなくなる可能性がありますのでご注意を。

◆ 最後にクイズです。

  1. A軟膏という、弱いステイロドを10日間塗る

  2. A軟膏より5倍強い軟膏を2日間だけ塗る

さて、1も2もステロイドの使った量は同じです。炎症の根っこを抜きにかかるなら、どちらが良いでしょうか?

◆ さらに、次のクイズ。

  1. ヒドくなってから塗る

  2. 軽いうちに塗る

さて、どちらの方が少ないステロイドで炎症を治せるでしょう?

もう、お分かりだと思いますが、答え合わせは、ご来院時にでも。

アトピー性皮膚炎のお子様を持つご両親様へのメッセージ

院長メッセージ アトピー性皮膚炎の治療には炎症の管理とスキンケアが大切です。
当院ではお母さん任せにしないステロイドの管理で、日数や細かい塗る場所まで塗り絵のように指示しています。
皮膚は繊細な臓器です。壊れてしまったら、自前のバリア機能が働かなくなります。
そうならないために炎症の管理をして、日々正しいスキンケアを行うことで、バリア機能が働くようにしましょう。

ステロイド剤に抵抗がある方もいらっしゃると思いますが、そのためにも初診の方には十分な時間をかけています。ぜひご相談ください。