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【医師監修】子どものRSウイルス感染症 そろそろ流行?重症化リスクを小児科医が解説|杉並区南荻窪 長田こどもクリニック

杉並区南荻窪の長田こどもクリニックです。秋から冬にかけて、そして近年では夏季にも流行が見られるRSウイルス感染症です。2024年は大きな流行時期がありませんでしたが2021、2023年が5月半ばから流行が始まっています。
今回は、お子さんのRSウイルス感染症について、その症状や流行時期、ご家庭でのケア、そして見逃したくない重症化のサインについて詳しく解説します。

RSウイルス感染症とは?多くの赤ちゃんが感染する身近なウイルス

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は、呼吸器の感染症を引き起こすウイルスです。実は、2歳までにはほぼ100%の子どもが一度は感染すると言われている、非常にありふれたウイルスなのです。

引用: 国立感染症研究所. 「RSウイルス感染症とは」.

一度感染しても免疫が十分に持続しないため、何度も感染を繰り返すことがあります。年齢が上がるにつれて症状は軽くなる傾向にありますが、特に初めて感染する場合や、生後数ヶ月以内の赤ちゃん、早産で生まれた赤ちゃん、心臓や肺に基礎疾患があるお子さんなどは重症化するリスクがあるため注意が必要です。

RSウイルス感染症の主な症状と潜伏期間

RSウイルスに感染すると、通常2~8日(多くは4~6日)の潜伏期間を経て、以下のような症状が現れます。

  • 発熱(38℃前後が多いですが、高熱になることも)
  • 鼻水、鼻づまり
  • 咳(はじめは乾いた咳、徐々に湿った咳に変わることがあります)
  • 咽頭痛

つまりただの風邪です。ですので過剰にRSウイルスを恐れる必要はありません。また1歳未満では悪化リスクがあるため迅速検査の保険適応となりますが、1歳を超えるとRSウイルス迅速検査は保険適応外となります。

多くは数日~1週間程度で軽快しますが、一部で症状が悪化することがあります。

【特に注意が必要な症状:細気管支炎・肺炎】

RSウイルス感染症が重症化すると、細気管支炎や肺炎を引き起こすことがあります。特に生後6ヶ月未満の乳児では、以下のような症状に注意が必要です。

  • ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい):息を吐くときに聞こえる異常な呼吸音
  • 呼吸が速い、浅い:肩で息をする、呼吸の回数が明らかに多い(目安として、安静時に1分間に60回以上など)
  • 陥没呼吸:呼吸のたびに胸やお腹がペコペコとへこむ
  • 顔色が悪い:唇や顔全体が青白い、土気色
  • 哺乳不良・食欲不振:母乳やミルクの飲みが悪い、ぐったりしている
  • 無呼吸発作:一時的に呼吸が止まる(特に未熟児や新生児で注意)

これらの症状のように細気管支炎となると喘息のような症状が見られます。上記の症状が出現した場合は、夜間や休日であっても速やかに医療機関を受診してください。また3ヶ月未満の発熱は特に細菌性髄膜炎や他の感染症との鑑別と精査が必要です。周りでRSウイルスの流行があっても3ヶ月未満の発熱は家で経過観察はしないで必ず病院で診てもらう必要があります。

RSウイルスの流行時期と感染経路

RSウイルスの流行時期は、例年ですと秋から冬(9月頃から翌春)にかけてがピークとされていましたが、近年では夏季(7月~8月頃)にも流行が見られるなど、流行時期が変化する傾向があります。杉並区や近隣地域でも、流行状況には注意が必要です。

厚生労働省. 「RSウイルス感染症Q&A」.

主な感染経路は以下の2つです。

  1. 飛沫感染:感染者の咳やくしゃみ、会話などで飛び散るウイルスを含んだしぶき(飛沫)を吸い込むことで感染します。
  2. 接触感染:ウイルスが付着したドアノブ、手すり、おもちゃなどに触れた手で、目や鼻、口などを触ることで感染します。

RSウイルスは感染力が強く、家族内や保育施設などで集団発生することもあります。

家庭でのケアと受診の目安

RSウイルス感染症と診断された場合、あるいは疑われる場合の家庭でのケアは、基本的に風邪の時と同様です。

  • 安静と保温:室温や湿度を適切に保ち、暖かくしてゆっくり休ませましょう。
  • 水分補給:発熱や鼻水で水分が失われやすいため、湯冷ましや麦茶、経口補水液などでこまめに水分を与えましょう。
  • 鼻水の吸引:鼻づまりで呼吸が苦しそうな場合は、鼻吸い器でこまめに鼻水を取ってあげると楽になります。
  • 加湿:空気が乾燥すると咳が悪化しやすいため、加湿器などで湿度を50~60%程度に保つとよいでしょう。

【受診の目安】

  • 上記「特に注意が必要な症状」が見られる場合
  • 3ヶ月未満の赤ちゃんが発熱した場合
  • 水分をあまり取れず、尿の回数が減っている、あるいはおしっこが半日以上出ていない場合
  • ぐったりしていて元気がない、機嫌が非常に悪い状態が続く場合
  • 症状が改善せず、悪化しているように見える場合

ご心配な点があれば、早めにかかりつけの小児科にご相談ください。当クリニックでも、お子さんの状態を丁寧に診察し、適切なアドバイスをさせていただきます。

登園・登校の目安は?

RSウイルス感染症は、学校保健安全法で「その他の感染症」として扱われており、インフルエンザのように明確な出席停止期間は定められていません。

登園・登校の目安は、解熱し、全身状態が良いことです。ただし、回復後も1~3週間程度は咳が残ることがあり、またウイルスは症状が軽快した後も数日間排出される可能性があります。

具体的な登園・登校の判断については、かかりつけ医にご相談ください。保育園や幼稚園によっては独自の基準がある場合もありますので、そちらにも確認しましょう。

予防のためにできること

RSウイルス感染症の特効薬はなく、治療は症状を和らげる対症療法が中心となります。そのため、感染しないための予防が大切です。ですが限界はありますね。上記に述べた通り2歳までにほとんどの方が感染し通常の風邪と同様の症状で収まることがほとんどです。

  • 手洗い、うがい:流水と石鹸によるこまめな手洗い、アルコール手指消毒剤の活用。
  • マスクの着用:咳やくしゃみが出ている場合はマスクを着用する(年齢に応じて可能な範囲で)。
  • 人混みを避ける:流行時期は、できる範囲で人混みへの外出を避けましょう。
  • おもちゃや手すりなどの消毒:子どもがよく触れる場所をこまめに消毒するのも有効ですが限界はあります。

特に、小さなお子さんや基礎疾患のあるお子さんがいるご家庭では、周囲の大人が感染源とならないよう、より一層の注意が必要です。

長田こどもクリニックでは、RSウイルス感染症をはじめ、お子さんの様々な病気や健康に関するご相談に応じています。杉並区南荻窪で小児科をお探しの方は、どうぞお気軽にご相談ください。夜間診療も行っておりますので、日中お忙しい保護者の方もご利用いただけます。

長田こどもクリニックからのお知らせ

【当院の診療について】お子さんの予防接種でお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。

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住所:杉並区南荻窪1-31-14 TEL:03-3334-2030

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参考文献 

国立感染症研究所. 「RSウイルス感染症とは」. https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/317-rs-intro.html (閲覧日:2025年5月14日)

厚生労働省. 「RSウイルス感染症Q&A」. https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/rs_qa.html (閲覧日:2025年5月14日)

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